• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

新たな疾患概念「潜在性中枢性甲状腺機能低下症」の確立と病態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23591345
研究機関群馬大学

研究代表者

山田 正信  群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90261833)

キーワード中枢性甲状腺機能低下症 / 潜在性内分泌代謝病 / TRH / NR4A1
研究概要

潜在性甲状腺機能低下症は、血清遊離T4値が基準値内であるが、軽度血清TSH値が上昇した病態でメタ解析などにより心脳血管障害の発症危険因子として注目されている。これまで潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺自体の障害によるものばかりであったが、私たちの多数例の下垂体腫瘍の検討から「潜在性中枢性甲状腺機能低下症」という新たな病態が存在する 可能性を発見した。本研究では、新たな疾患概念「潜在性中枢性甲状腺機能低下症」を確立するため、さらに症例数を増加させ詳細を検討を進めている。一方、動物モデルとしてTRHノックアウトマウスのホモ接合体は、甲状腺 ホルモンが約60%の軽度の甲状腺機能低下症になるが、血清TSH値は生物学的活性が低下しむしろ軽度増加することが判明している 。本年度は野性型、TRHKOホモ接合体並びにヘテロ接合体の下垂体よりmRNAを抽出し、マイクロアレイ法とK-means法解析により網羅的 にTRH欠損状態の程度により変化する遺伝子群について検討し、NR4A1(Nur77)がTRH依存性の遺伝子であり、さらにNR4A1はTSHβ遺伝子をin vitroの実験系で、プロモーター領域にリクルートされることにより転写活性を増強していることが判明した。従って、TRHのTSHβ遺伝子制御機構には、これまでの報告にあるpit1やGATA2 といった転写因子群に加えて、NR4A1が重要な役割をしていることが判明し、NR4A1異常による中枢性甲状腺機能低下症という病態も存在する可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

臨床疫学的データーベースでは下垂体腫瘍の術前術後の甲状腺ホルモン値、TSH値、腫瘍の大きさ、病理像などについてさらに追加した。また、基礎的な検討のTRHノックアウトマウスを用いた検討では、TRHの下垂体TSHβ遺伝子制御にNR4A1が関与することを確立し報告した。

今後の研究の推進方策

昨年度は動物の繁殖が悪く、動物実験にかかる経費に残額が生じた。今年度にそのプロジェクトもあわせ推進して行く予定である。また、臨床疫学的データーベースの追加症例については症例数をさらに増やし、病態の確立を目指す。TRHノックアウトマウスを用いた検討 では、より生理的な状態での絶食負荷などによる血中甲状腺ホルモンやTSHならびにTSHβmRNAレベルへの影響などを検討する。

次年度の研究費の使用計画

上記の研究計画のため、疫学的データーを解析するためのコンピュータープログラムのアップデイトや動物関連、DNA関連、免疫組織化学関連の消耗品費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] NR4A1 (Nur77) mediates thyrotropin-releasing hormone-induced stimulation of transcription of the thyrotropin β gene: analysis of TRH knockout mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Nakajima Y*, Yamada M*, Taguchi R, Shibusawa N, Ozawa A,Tomaru T, Hashimoto K, Saito T, Tsuchiya T, Okada S, Satoh T, and Mori M
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e40437

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0040437

    • 査読あり
  • [学会発表] 下垂体の機能調節に関わる新規分子の解明TRHノックアウトマウスを用いた新たな生理活性経路の探索2012

    • 著者名/発表者名
      山田正信, 中島康代, 田口亮, 森昌朋
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      20120330-20120330
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi