研究課題
潜在性甲状腺機能低下症は、血清遊離T4値が基準値内であるが、軽度血清TSH値が上昇した病態でメタ解析などにより心脳血管障害の 発症危険因子として注目されている。これまで潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺自体の障害によるものばかりであったが、私たちの 多数例の下垂体腫瘍の検討から「潜在性中枢性甲状腺機能低下症」という新たな病態が存在する 可能性を発見した。本研究では、新 たな疾患概念「潜在性中枢性甲状腺機能低下症」を確立するため、さらに症例数を増加させ詳細を検討を進めている。一方、動物モデ ルとしてTRHノックアウトマウスのホモ接合体は、甲状腺 ホルモンが約60%の軽度の甲状腺機能低下症になるが、血清TSH値は生物学的 活性が低下しむしろ軽度増加することが判明している 。本年度は摂食による中枢性の甲状腺機能への検討を行うため、野生型マウス並びにTRHノックアウトマウスを絶食にし、経時的に血清甲状腺ホルモン値、TSH値、さらに下垂体TSHb mRNAレベルを検討した、さらにレプチンによる効果を絶食時に腹腔内投与することにより検討した。野生型マウスでは、絶食にすると経時的にFT4レベルは低下し、16時間で約90%まで低下した。同時に測定したTSHも経時的に低下した。また、FT4の低下はレプチンの投与により完全に回復した。TRHノックアウトマウスでも絶食により甲状腺ホルモン並びにTSHは低下したが、レプチン投与による甲状腺ホルモンへの影響は消失した。従って、レプチンの視床下部ー下垂体ー甲状腺系への作用にはTRHが必須であることが明らかとなった。
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J Clin Endocrinol Metab.
巻: 98 ページ: 3280-3287
10.1210/jc.2013-1353.