研究課題
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)は、下垂体・副甲状腺・膵消化管内分泌腺に多発性の腫瘍発症を認める常染色体優性遺伝性疾患であり、原因遺伝子であるMEN1は癌抑制遺伝子と考えられるが、詳細な腫瘍発症機構は不明である。JunDは、細胞調節因子のAP-1ファミリーに属し、MEN1の翻訳産物meninにより転写活性が抑制される。私達は、MEN1型の腫瘍発症機構におけるmenin-JunD複合体の機能解明のためMen1とJunDのダブル変異マウス(Men1+/-JunD-/-)を樹立し解析した。6月齢から18月齢まで経時的に解剖・病理解析を施行した結果、ダブル変異マウスは、Men1+/-マウスと比較して、早期に膵ラ氏島に腫瘍発症を認め、また悪性度も高いことが判明した。JunDの欠失による膵ラ氏島腫瘍発症の分子機構解明の目的で、腫瘍発症の最初期にあたる10ヶ月齢の雄Men1+/-マウスから膵ラ氏島を単離し、total RNAを抽出後マイクロアレイ解析を施行した。その結果、Men1+/-マウスでは野生型マウスに比較して、271遺伝子が2倍以上の発現増加を認め、246遺伝子が1.5倍以下の発現低下を認めていた。特に細胞周期関連遺伝子群の発現が多く、またパスウェイ解析の結果からは、カルシウム調節系因子群、加水分解酵素関連遺伝子群、細胞膜受容体シグナルパスウェイ因子群の変動が大きかった。これらの変動因子群をMen1+/-JunD-/-マウスの膵ラ氏島由来のRNAを用いてqPCR法にて発現解析を施行したところ、Men1+/-との間に有意差を認め、腫瘍発症の背景となっている可能性が示唆された。
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