研究課題
研究目的本研究はステロイドホルモンによる新規慢性炎症制御法の開発を目的とし、アンドロゲン受容体(AR)とグルココルチコイド受容体(GR)を中心とした代謝・炎症の制御のメカニズムに着目し、in vivo、in vitroの双方から研究を行うことでエピゲノム制御を介したステロイドホルモン作用による慢性炎症制御機構の解明を試みた。研究計画と成果in vivoにおいては、AR, GRの炎症・代謝の制御における個体レベルでの機能を解析するため、各々の組織特異的KOマウスに高脂肪食を与えた際の炎症性マーカーの発現や耐糖能の異常について検討した。本研究では肝臓、膵臓、脂肪組織、マクロファージなどの組織におけるAR, GRの炎症制御作用を検討したが、これら組織での特異的AR, GR欠損マウスはいずれも耐糖能に異常はなく、これら受容体が機能する細胞種の特定には至っていない。現在は免疫細胞種(T-cell, B-cellなど)における核内受容体群の意義を検討している。更に、ARKOマウスにおける内分泌異常が代謝、炎症に二次的にもたらす効果についても、ホルモン作用阻害や受容体KOマウスとの交雑により検討中である。一方、in vitro慢性炎症解析モデルとして構築した脂肪細胞とマクロファージの共培養系においては、グルココルチコイドが強い抗炎症効果を示すことに加え、性ホルモンであるアンドロゲンがAR依存的に微小環境下での炎症性サイトカインの遺伝子発現抑制する効果を明らかにした。更にin vitroの詳細な解析から、アンドロゲンの効果は、脂肪細胞において転写制御を介した炎症シグナル伝達の抑制を介し、サイトカイン遺伝子の発現をAR依存的に抑制するものと考えられた。現在、このアンドロゲン核内エピゲノム因子との相互作用による制御メカニズムの解明に取り組んでいる。
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