研究課題
外科的治療の際に病変部位にアクセスする過程でやむを得ず摘出された少量のヒト正常下垂体細胞を用いてTEP画像法で観察した。GH産生細胞に特異的な表面抗原に反応する傾向標識を付けたレクチンで同定した人GH産生細胞を観察し、自発的な開口分泌がほとんど見られないことを確認した。一方、ヒトGH産生下垂体腺腫では自発的な開口分泌が観察され、個々の腺腫によって開口分泌の頻度は大きく異なった。ホルモン分泌抑制薬として応用されているソマトスタチンやドーパミンが開口分泌を強く抑制知ることを明らかにした。これは機能性下垂体腺腫の治療薬の作用機構を可視化解析で明らかにできたものである。GH産生腺腫には病理学的にみると分泌顆粒が豊富な腺腫とほとんど見られない腺腫の二つに分類される。これらの間に自発分泌の程度に相違があると仮説を立ててして観察を行ったが、仮説に反し、これらの間に相違はなかった。分泌下流の少ない腺腫では、GH顆粒が賛成されても直ちに分泌経路に浮き細胞内に停滞している時間が少ないことが推測される。このことは、病理学的分類の病態生理学的意味を示すものである。
2: おおむね順調に進展している
当初の平成24年度以降の予定に対して、下垂体腺腫の病態生理学的解析と正常細胞の比較を行うことができ、おおむね順調に進展していると考える。下垂体腺腫については40症例以上のGH産生腺腫を検討し、十分な観察ができた。
当初の予定に沿って、正常下垂体細胞における知見の論文化をおこなうとともに、人機能性下垂体腺腫のホルモン分泌過剰の原因についてのこれまでの研究成果を論文化する。また、下垂体以外の機能性腫瘍として褐色細胞腫について件きゅを進めてゆく。
2光子励起法を用いた、開口分泌の可視化実験とその薬理学的、生理学的解析のための実験、用いた腫瘍細胞の免疫組織学的研究、電子顕微鏡による解析を行う。機能性腫瘍に対応する正常組織として、正常下垂体前葉細胞や正常副腎髄質細胞の細胞塊培養を行い、開口分泌の可視化研究を進め、機能性腫瘍との比較を行う。
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