研究課題
2光子励起法のTEP法によって下垂体前葉細胞のホルモン開口分泌を可視化して解析した。ラット下垂体前葉細胞集塊の正常細胞からの自発分泌を蛍光蛋白のトランスフェクションなどの人工的操作を加えずに観察することができた。蛍光物質を付けたレクチンで下垂体前葉細胞の種類を生きた状態で同定し、GH,プロラクチン、ACTH分泌細胞からの生理的な顆粒分泌の動態を解析できた。プロラクチン細胞は他の前葉細胞を異なり、刺激なしに自発開口分泌を示した。この自発開口分泌はきわめて早い現象で殆どが1秒以内に終了した。自発開口分泌は、電位依存性カルシウムチャネルブロッカーやD2受容体拮抗薬で消失し、この開口分泌が視床下部からのドーパミンによる抑制から解除されたときの高プロラクチン血症を説明するものであることが明らかになった。プララクチン細胞以外では、GHRH刺激によるGH細胞の開口分泌とCRHやAVPによるACTH細胞の開口分泌を解析し、ともに数秒で終了するfull fusionであり、一部kiss-and-stayの分泌動態を示した。プロラクチン産生細胞以外は自発分泌がほとんどなく、それぞれの生理的分泌刺激因子である視床下部ホルモンによって特異的に開口分泌が生じることが示された。機能性内分泌腫瘍としてヒトのGH産生下垂体腺腫、プロラクチン産生腺腫、ACTH産生腺腫を解析し、それぞれ刺激因子の投与なしに自発性開口分泌を認めた。この自発分泌がこれらの腫瘍のホルモン過剰分泌の病態生理の本態であると考えられた。これまで、ヒトGH産生腺腫、ACTH産生腺腫、TSH産生腺腫において自発活動電位を多くの腺腫細胞に認めることを報告してきたが、今回見出した自発開口分泌はこの自発活動電位の発火によって生じると考えられた。ヒト機能性下垂体腺腫の生理的調節から外れた過剰なホルモン分泌が自発開口分泌により、それが自発活動電位の発生によることが示された。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
臨牀消化器内科
巻: 28巻1号 ページ: 33-37
J. Clin. Endocrinol. & Metab.
巻: 98 ページ: 1130-1136
10.1210/jc.2012-2924.
Acta Paediatr
巻: 102 ページ: 787-796.
10.1111/apa.12266.
ホルモンと臨床
巻: 60 ページ: 765-770
巻: 60 ページ: 579-584