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2012 年度 実施状況報告書

細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白質の生理的機能多様性:炎症と低T3症候群への関与

研究課題

研究課題/領域番号 23591349
研究機関信州大学

研究代表者

鈴木 悟  信州大学, 医学部, 准教授 (30222061)

キーワード甲状腺ホルモン / 細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白 / クリスタリン / 甲状腺ホルモン応答遺伝子 / 低酸素 / LPS / 炎症 / ノックアウトマウス
研究概要

CRYM発現調節細胞を用い、甲状腺ホルモンによるラット成長ホルモン、脱ヨード酵素1型、2型での、遺伝子発現様式をホルモン投与24時間までと、その後、ホルモン不含後48時間までの変化を定量PCRにより検討した。その結果、ラット成長ホルモン、脱ヨード酵素2型で、CRYM発現によるホルモン応答性に差異を認めた。脱ヨード酵素1型では変化を認めなかった。この、遺伝子特異的ホルモン応答性についての機構は現時点では不明である。この成果について、英文論文として投稿中である。別に、親株と、CRYM発現細胞、親株を1.3%低酸素下24時間培養、親株を100nMトリヨードサイロニン24時間培養後のそれぞれのRNA発現変化をマイクロアレイにより解析した。CRYM発現細胞により変化した遺伝子について、まず、解析した。その結果、神経系、シナプス関連遺伝子の発現が上昇しており、IGF-1を代表とする体性関連遺伝子発現が現象していた。その他、甲状腺ホルモンで誘導される遺伝子133遺伝子のうち、CRYM発現細胞株で18遺伝子が上昇していた。この遺伝子のうち、機能の判明している10遺伝子につき、定量PCRにより発現を確認した。8遺伝子で、甲状腺ホルモンによる発現増強を確認した。Trhde遺伝子、Bcar3遺伝子では、甲状腺ホルモンによる誘導は親株に比し、減少していた。以上の結果を英文論文として投稿中である。その他、低酸素で誘導される遺伝子と甲状腺ホルモンで誘導される遺伝子に共通な遺伝子につき、現在定量PCrにて発現確認中である。マウス実験では、LPS皮下注により、血清T3の低下と、心臓でのCRYM発現の上昇を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス表現型解析が進行している。細胞培養による遺伝子発現解析については当初予定どおり進行中である。インキュベーターの故障が一度あり、その異常が判明するまで、実験を継続したため、一部やり直しを余儀なくされた。しかし、おおむね計画通りであり、無酸素の実験を今後繰り返し行うことで結果の確認を行う。マウスの実験は、ヘテロマウスを現在、増やしており、今後実験個体数を増やし、実験を施行する予定である。

今後の研究の推進方策

最終年度である平成25年度は、主に、動物実験に重点をおく。細胞によるホルモン応答遺伝子の発現変化のデータをもとに、生体内での役割を明らかにするため、生体内で急激にホルモン濃度を上昇させた場合、CRYMノックアウトマウスと野生型でのホルモン応答性の違いを得られた、遺伝子解析による候補遺伝子を参考に定量PCRで経時的に検討することを計画する。細胞内局在の差異についても経時的な細胞内局在の変化について、特にホルモン添加後の変化を詳細に検討する計画である。
1. 同腹のマウスのうち、オス、雌いずれかを使用し、LPS投与による、炎症モデルにおいて、血清ホルモン変化、表現型解析のスクリーニングにより明らかとなった、ある種の炎症性サイトカインの変化について測定、検討する。
2. ラット成長ホルモンmRNA発現は、低酸素下で甲状腺ホルモン存在下に増強される。プロモーター活性も上昇する。マイクロアレイでスクリーニングされた、低酸素下甲状腺ホルモン応答遺伝子の発現を確認する。

次年度の研究費の使用計画

細胞内、生体内いずれの実験系も経時的な変化を定量PCRにより捉えていく手法をメインに実験を組んでいく。このため、定量PCRにかかる、酵素やプローブに研究費を使用する。細胞、組織からRNAを抽出するための試薬を購入する。その後、RNAの変化が蛋白レベルで確認できるかウェスタンブロティングを施行するための試薬、器具に研究費を使用する計画である。論文投稿を積極的にしていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Gender-specific regulation of response to thyroid hormone in aging.2012

    • 著者名/発表者名
      Suzuki S, Nishio SI, Takeda T, Komatsu M
    • 雑誌名

      Thyroid Res

      巻: 5 ページ: 1

    • DOI

      10.1186/1756-6614-5-1

  • [学会発表] 糖尿病における細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白(CRYM)の発現変化について2012

    • 著者名/発表者名
      関戸貴志、大久保洋輔、竹重恵子、樋渡大、石井宏明、西尾真一、武田貞二、鈴木悟、駒津光久
    • 学会等名
      第55回日本甲状腺学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121129-20121201
  • [学会発表] 細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白(CRYM)による甲状腺ホルモン応答遺伝子発現様式の細胞レベルでの変化について2012

    • 著者名/発表者名
      竹重恵子、関戸貴志、大久保洋輔、樋渡大、石井宏明、西尾真一、武田貞二、鈴木悟、駒津光久
    • 学会等名
      第55回日本甲状腺学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121129-20121201
  • [学会発表] 糖尿病における細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白質(CRYM)の発現変化について2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木悟、西尾真一、武田貞二、駒津光久
    • 学会等名
      第85回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120419-20120421

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公開日: 2014-07-24  

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