研究課題
初めに、甲状腺ホルモン結合活性の細胞内輸送に対する役割について、以下の二つの方法でアプローチした。1. CRYMプロモーターの単離と、結合活性の評価 2. CRYM発現細胞とその親株であるGH3細胞を用いた、甲状腺ホルモン応答遺伝子の発現変化の定量的解析1. プロモーターの恒常的活性部位をCRYM高発現株dRLh-84 細胞と低発現細胞株GH3を用い、比較検討した。転写開始地点から上流200塩基から100塩基までの間に、結合活性が変化する部位を見出した。ここにAP-1配列があり、この配列の役割を、定量PCRを用いたCRYM遺伝子発現変化により明らかにした。結果を文献1にまとめた。2. 先に確立したCRYM発現細胞株を用い、甲状腺ホルモンの種々の濃度に対する、甲状腺ホルモン応答遺伝子(成長ホルモン、脱ヨード酵素1型、2型)の発現変化を経時的に解析した。この結果、同じ甲状腺ホルモン応答遺伝子であっても、発現パターンに経時的に変化がみられることが判明した。このことから、甲状腺ホルモン濃度変化に対する遺伝子反応は、CRYMにより特異的にコントロールされていると考えられた。結果を文献2にまとめた。次に炎症に対するvivoにおける役割について、ノックアウトマウスを使用し解析した。最初に、野生型C57BL6における、感染、炎症モデルとしてのリポポリサッカライド(LPS)に対するCRYM発現変化につき、心臓を用い解析した。結果、炎症により、CRYM発現は先の網膜同様上昇することが判明した。この場合、血清FT3濃度は減少した。次に、同様の実験をノックアウトマウスで施行した。LPS投与前後でFT3に変化を認めなかった。CRYM消失により、血清T3の減少が消失したことから、感染によるT3の定価には、CRYMが関与している可能性が示唆された。
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Endocrine Journal
巻: 61 ページ: Epub ahead
10.1507/endocrj.EJ13-0418