Arx 遺伝子(the aristaless-related homeobox gene)によってコードされる転写因子ARXは、膵島の内分泌細胞の分化に決定的な影響を与えることが知られているが、その調節機構は未だ解明されていない。一方、我々が独自に作製し得たグルカゴン遺伝子ノックアウトマウス(GcgKO)の膵島では、Arx遺伝子の発現増加とα細胞の過形成が認められたことから、ARXがα細胞の過形成に重要な役割を持つのではないかと考え、本研究を着想するに至った。具体的にはGcgKOと2種類のArx遺伝子改変マウス、すなわちArxpl/Y及びArxg7/Yとを交配することにより、ARXが膵島および、同じくARXを発現している腸管内分泌細胞の分化・機能にどのような役割を持つかを明らかにすることを目的とした。平成25年度では、膵臓の形態学的解析を中心とした表現型の解析に関し24年度までに得られた研究成果をまとめ、論文報告することができた。一方、腸管内分泌細胞もARXを発現しているが、ARX変異の導入が腸管内分泌細胞の形態や機能にどのような影響を及ぼすかに関して平成25年度に検討した結果、膵島内分泌細胞に認められたARX変異導入による影響が、腸管内分泌細胞では認められないことが明らかとなった。
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