研究課題
ミトコンドリアダイナミクスの糖代謝恒常性維持における役割解明を目標に、1)膵β細胞からのインスリン分泌、膵β細胞維持機構、2)インスリン抵抗性発症機構におけるDrp1の機能解析を推進した。1) 膵β細胞からのインスリン分泌、膵β細胞維持機構:膵β細胞特異的Drp1欠損マウス(Drp1βKO)はグルコース応答性インスリン分泌の低下、耐糖能異常を認め、週令とともに耐糖能障害が悪化する。組織学的解析により、膵ラ氏島の過形成を認め、Drp1βKO のラ氏島ではBrdU取り込み細胞の増加、TUNNEL陽性細胞の減少がみられた。β細胞保持においてもミトコンドリアダイナミクスが重要な役割を担っている可能性が示唆された。次に単離ラ氏島を用いて、DNAアレイ解析を行い、Drp1欠損に伴う遺伝子発現の変化を網羅的に解析した結果、Drp1欠損による膵ラ氏島の過形成を説明する一つとしてReg遺伝子群が上昇していることを明らかにした。さらにグルコース刺激による膵β細胞内[Ca2+]応答を観察したところ、[Ca2+]上昇ならびに回復の遅延を認めた。2) インスリン抵抗性発症機構: Drp1floxマウスとAlb-CREマウスの交配により肝細胞特異的Drp1欠損マウス(Drp1LiKO)を作製した。Drp1LiKOマウスはインスリン感受性の亢進から耐糖能が著明に改善することを明らかにした。そこで脂肪組織におけるインスリンシグナルの活性化を検討したところ、インスリン受容体の下流に存在するAktのリン酸化が亢進し、インスリン感受性が亢進していることが明らかにした。肝臓でのミトコンドリアダイナミクスの変化が肝臓から発せられる代謝シグナルを介して全身の糖代謝を制御していることが示唆された。全身の糖代謝恒常性維持に細胞レベルのミトコンドリアダイナミクスが大きく関与していることを明らかにした。
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