癌幹細胞は、癌細胞の中でも癌の根本的な原因であり、癌の再発や転移にも深く関わっているとされている。今回、多数の培養甲状腺癌細胞株と腫瘍形成能力を検討できる実験系を用い、これまでに他の種類の固形癌で報告のある癌幹細胞マーカーを候補とし、甲状腺癌における幹細胞マーカーの同定を試みた。その結果、細胞におけるアセトアルデヒド脱水素酵素の活性が最も有力な候補であることが明らかになったが、同時に、細胞の種類によってはCD326やCD44もマーカーとなることが示唆された。このことは、甲状腺癌においては、普遍的なマーカーはなく、癌のタイプや症例によってマーカーが異なっている可能性を示唆している。
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