研究課題
近年、免疫・炎症反応が、内臓脂肪型肥満が起因となって起こるメタボリック症候群の病態に関わることが解明されてきたが、詳細な機序はまだ不明である。本研究では、自己免疫疾患やウイルス感染で注目されている免疫プロテアソームという蛋白質分解酵素が、肥満などの炎症に関与しているのではないかという仮説の下、免疫プロテアソームを欠損したマウスを利用して、その役割を解明することを目的としている。平成24-25年度に、野生型と免疫プロテアソームのサブユニットの一つであるLMP7を欠損したマウスに高脂肪食負荷を行い、摂食量やエネルギー消費量が野生型とほぼ同じにも関わらず、LMP7欠損マウスの内臓脂肪(精巣上体・腸間膜・腎周囲)の蓄積が野生型と比較して顕著に減弱し、血糖値や血清中の総コレステロール・中性脂肪も同様に減弱していることを見出した。耐糖能やインスリンの感受性も良好であった。内臓脂肪における遺伝子発現や細胞浸潤を解析したところ、炎症性サイトカインの発現、炎症性マクロファージの浸潤がLMP7欠損マウスで抑制されていた。また、抗炎症性のアディポカインであるアディポネクチンが血清中で顕著に高く、LMP7欠損により脂肪細胞の分化が抑制されるが、一方で、LMP7欠損脂肪細胞のアディポネクチン産生が高いことを確認した。LMP2欠損マウスは繁殖が弱いため遅れているが、このマウスでも高脂肪食による肥満が抑制されることも見出している。LMP7欠損マウスの肥満モデルの解析について論文投稿中である。
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