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2012 年度 実施状況報告書

新規糖尿病関連遺伝子UBE2E2によるインスリン分泌調節とその分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591361
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

今村 美菜子  独立行政法人理化学研究所, 内分泌・代謝疾患研究チーム, 研究員 (00596124)

研究分担者 前田 士郎  独立行政法人理化学研究所, 内分泌・代謝疾患研究チーム, チームリーダー (50314159)
キーワード2型糖尿病 / 遺伝子
研究概要

1.遺伝子導入動物の作成および表現型解析 in vivoでの糖代謝における役割を解明するために膵β細胞特異的Ube2e2トランスジェニックマウス(β-Ube2e2-Tg)を作成した。膵β細胞特異的プロモーター(rat insulin promoter) の下流にマウスUbe2e2を挿入した発現ベクターを構築し、ES細胞にマイクロインジェクションを行った。コピー数の異なる2系統のβ-Ube2e2-Tgが樹立された。β-Ube2e2-Tg より単離した膵島でのUbe2e2mRNAの発現量はコントロールマウスの内因性Ube2e2mRNA発現量のそれぞれ9.4倍、12.5倍であった。2系統のβ-Ube2e2-Tgとコントロールマウスを通常飼育下において32週齢まで観察したが、血糖値、体重ともにβ-Ube2e2-Tgとコントロールマウスとの有意差はなかった。経口糖負荷およびインスリン負荷後の血糖値の測定も行ったがβ-Ube2e2-Tgとコントロールとの差は観察されなかった。現在はこれらのマウスをを高脂肪食下で飼育している。2.UBE2E2領域の遺伝子多型検索;UBE2E2領域内で2型糖尿病疾患感受性に直接影響する原因多型を同定するため、まず96名の2型糖尿病患者由来のゲノムを用いて、ヒトUBE2E2全長および上流10kbp、下流500bpを含む約400kbの塩基配列をダイレクトシークエンス法で解析した。その結果、626個の遺伝子多型が認められ,そのうち123多型はデータベースに登録されていない新規の遺伝子多型であった。626個のうち、すでに解析済みの148個を除いた478個の遺伝子多型のうち、インベーダー法での遺伝子型判定が可能な341の遺伝子多型について、現在2型糖尿病約8000人コントロール約3000人を用いて遺伝子型の判定を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は新規2型糖尿病関連遺伝子UBE2E2の膵β細胞における機能を検討し、加えてUBE2E2多型による疾患感受性のより詳細な
機序を解明することにより、2型糖尿病発症進展機序を明らかにすることである。UBE2E2の膵β細胞における機能の解析については平
成24 年度の研究計画である1)遺伝子導入動物の検討を主に行った。平成23年度に作成したトランスジェニックマウスモデルについては、目的の組織におけるUbe2e2mRNAの過剰発現を確認し、32週齢まで観察が終了した。すでに25年度の予定であった高脂肪食下での飼育観察を開始しており、動物実験に関しては計画は予定よりも早く進行している。また、2)UBE2E2多型の機能解析についてはUBE2E2領域のリシークエンスにおいて、626個という予想より多い遺伝子多型を認めたため、遺伝子型タイピングが未だ進行中である。
以上のことから、現時点ではおおむね順調に研究が進行していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

1. 膵β細胞特異的Ube2e2トランスジェニックマウスの表現型解析;高脂肪食飼育下における、糖代謝を中心
とした観察を行う。(血糖値、体重の経過観察および糖負荷試験)。また、トランスジェニックマウスより単離したラ氏島のインスリン分泌能の評価も行う。
2. ヒトUBE2E2領域の2型糖尿病疾患感受性機能性多型の同定;24年度に引き続きUBE2E2領域
内の遺伝子多型に対し、2型糖尿病患者群、対照群のゲノムサンプルを用いてマルチプレックスPCRインベーダー法で遺伝子型タイピング
を行い、UBE2E2領域およびその周辺において2型糖尿病と最も強く関連する機能性多型候補となる遺伝子多型の同定を試みる。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 糖代謝関連形質にかかわる遺伝子領域2013

    • 著者名/発表者名
      今村 美菜子
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 244 ページ: 1025-1029

  • [雑誌論文] Replication study for the association of rs391300 in SRR and rs17584499 in PTPRD with susceptibility to type 2 diabetes in a Japanese population2013

    • 著者名/発表者名
      Imamura M, Iwata M, Maegawa H, Watada H, Hirose H, Tanaka Y, Tobe K, Kaku K, Kashiwagi A, Kadowaki T, Kawamori R and Maeda S
    • 雑誌名

      J Diabetes Invest

      巻: 4 ページ: 168-173

    • DOI

      1-.1111/jdi.12017,2013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The influence of a single nucleotide polymorphism within CNDP1 on susceptibility to diabetic nephropathy in Japanese women in type 2 diabetes2013

    • 著者名/発表者名
      Kurashige M, Imamura M, Araki S, Suzuki D, Babazono T, Suzuki T, Umezono T, Toyoda M, Kawai K, Imanishi M, Hanaoka K, Maegawa H, Uchigata Y, Hosoya T, Maeda S
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e54064

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0054064

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 糖尿病疾患感受性遺伝子の解明2012

    • 著者名/発表者名
      今村美菜子、前田士郎
    • 雑誌名

      Modern Physician

      巻: vol 32 No.8 ページ: 1022-1024

  • [雑誌論文] A single nucleotide polymorphism within DUSP9 is associated with susceptibility to type 2 diabetes in a Japanese population.2012

    • 著者名/発表者名
      Fukuda H, Imamura M, (Equally contributed) Tanaka Y, Iwata M, Hirose H, Kaku K, Maegawa H, Watada H, Tobe K, Kashiwagi A, Kawamori R, Maeda S
    • 雑誌名

      PLOS one

      巻: 7 ページ: e46263

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0046263

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A single nucleotide polymorphism in ANK1 is associated with susceptibility to type 2 diabetes in Japanese populations.2012

    • 著者名/発表者名
      Imamura M, Maeda S, Yamauchi T et al
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet

      巻: 21 ページ: 3042-3049

    • DOI

      10.1093/hmg/dds113

    • 査読あり
  • [学会発表] Genetic variations in DUSP9 locus and CMIP locus are associated with type 2 diabetes in a Japanese population2012

    • 著者名/発表者名
      M. Imamura, H. Fukuda, M. Iwata, H. Maegawa, H. Watada, H. Hirose, Y. Tanaka, K. Tobe, K. Kaku, A. Kashiwagi, R. Kawamori, S. Maeda
    • 学会等名
      48th EASD annual meetings
    • 発表場所
      Messe Berlin, Berlin, Germany
    • 年月日
      20121002-20121005
  • [学会発表] Imputationに基づくゲノムワイド関連解析による2型糖尿病疾患感受性遺伝子領域の同定2012

    • 著者名/発表者名
      今村美菜子, 前田士郎, 山内敏正, 原一雄, 安田一基, 綿田裕孝, 前川聡, 岩田実, 広瀬寛, 加来浩平, 伊藤千賀子, 田中逸, 戸辺一之, 柏木厚典, 河盛隆造, 春日雅人, 中村祐輔, 門脇孝
    • 学会等名
      第55回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (横浜市)
    • 年月日
      20120517-20120519

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公開日: 2014-07-24  

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