研究概要 |
目的: 本研究の目的は、BCR-ABL陽性白血病のマウス発症モデルを用いて、がん幹細胞分画を純化し、網羅的miRNA発現解析を行って「白血病がん幹細胞で異常発現するmiRNA」を同定する。同定された場合はその機能解析を行い、miRNAががん幹細胞に及ぼす病理・病態を明らかにする。 方法: C57BL/6マウス(以下B6マウス)の造血幹細胞分画(cKit陽性Sca1陽性分化マーカー陰性細胞 以下KSL)にBCR-ABL1キメラ遺伝子を導入し、同感染細胞をB6マウスに移植する。BCR-ABL陽性白血病発症マウスからCML幹細胞(KSL分画)、前駆細胞様CML細胞(cKit陽性Sca1陰性分化マーカー陰性細胞)、並びに分化CML細胞をセルソーターで抽出し、RNAを精製し、miRNA(non-cording)や通常遺伝子(cording)の網羅的発現解析を行い、がん幹細胞特異的に発現するmiRNAや遺伝子を同定する。 結果: B6マウスから幹細胞を採取しBcr-abl遺伝子を導入後、腫瘍発生組織(脾臓)から、幹細胞をとりだし、RNAを採取、その後網羅的miRNA遺伝子解析を行った。Bcr-abl陽性のマウス白血病幹細胞では、正常対応細胞と比較し、いくつかのmiRNAが過剰発現または、発現低下をしており、それらは miR-203,miR-200c, miR-26,miR-21,miR-2105, miR-181などであり、そのうちのいくつかは、KLS陽性細胞と陰性細胞の分画で比較しても発現差をみた。例えばmiR-200cがそうであるが、現在CMLにおけるmiR-200cの標的蛋白の同定の為の実験を行っている。
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