研究概要 |
我々は細胞周期制御蛋白であるMgcRacGAPの新しい制御機構の一つとして、ユビキチン依存的な分解機構を提唱し、そのユビキチン化の検証及びメカニズムの解析を行った。 まずHAタグ化ユビキチンのコンストラクトを作成、これをMgcRaGAPとともに293T細胞に大量発現しMgcRacGAPのユビキチン化されることを確認した。次に、このユビキチン化を担うユビキチンリガーゼの同定を行った、既知の細胞周期依存的なユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットであるCdh1,Cdc22, Skp2, FBW7,beta-TrCpのコンストラクトを用い、MgcRacGAPとの大量発現体(293T細胞)を作成したところ、MgcRacGAPがCdh1特異的に分解をされることを同定した。また併せてプロテオーム解析を行い、新たなユビキチンリガーゼ候補を同定した。詳細は現在解析中である。また分解調節領域を同定する為に、MgcRacGAPのN末、Int, cys, GAP, C末各種欠失変異体を作成した。これらそれぞれとCdh1との大量発現体(293T細胞)を作成したところ、MgcRacGAPのC末(537-632)分解調節領域であることを同定した。さらにMgcRacGAPのmRNA量の調節機構として、転写及びmicroRNAによる調節機構構も解析、miR-19aによる調節機構を同定した。詳細は現在検討中である。 MgcRacGAPの量的制御は細胞分裂を円滑に行う上で不可欠であると同時に、その異常は発がんのメカニズムと関係しうる。本研究ではこれまで解明されていなかったMgcRacGAPの量的制御機構をmRNAレベル、蛋白レベルで解明するとともに、その生理的意義特に腫瘍形成との関連性に重点を置きながら施行することが重要な点である。
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