研究課題
MOV10に対してはNFkappaBの活性を抑える効果があることを確認するも、その機序に関しては残念ながら解明できませんでした。研究実施計画書でうまくいかなかった場合として、cDNAライブラリーを用いた実験によるスクリーニングの結果、新たにCKIP-1という分子が候補にあがり、この分子におけるNFkappaB抑制機序の研究を行った。CKIP-1はCARMA1と結合し、PKCthetaとCARMA1との相互作用を阻害することでPKCtheta-CBM-NF-kappaB signalingを抑制することが認められた。CKIP-1のPleckstrin homology (PH) domainが、CARMA1との結合においても、またNF-B抑制効果においても必要であった。CKIP-1は、TNFalfaにより誘導されるNF-kappaB活性は抑制せず、CD3単独やPMA、PMA/CD28により誘導されるNF-kappaB活性を抑制する一方、CD3/CD28共刺激により誘導されるNF-kappaB活性を抑制しなかった。その機序としてCD3/CD28共刺激の際は、CKIP-1の細胞内局在が変化しCARMA1と結合できなくなり、NF-B活性への抑制効果を示せないことが明らかとなった。CKIP-1は、NF-B活性を定常状態に維持したり、不適切なシグナルによってT細胞が活性化することを防いだりすることで、適切なCD3/CD28シグナル伝達のためのgatekeeperのような役割を果たしていると予想された。以上の知見は第75回日本血液学会学術集会で報告したとともにPLOS One 2014 Jan 17;9(1):e85762に論文が掲載された。
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PLOS ONE
巻: 9 ページ: e85762
10.1371/journal.pone.0085762
Virology
巻: 449 ページ: 82-87
10.1016/j.virol.2013.11.004