研究課題/領域番号 |
23591384
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安永 純一朗 京都大学, ウイルス研究所, 講師 (40362404)
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キーワード | HTLV-1 / USP20 / USP33 / HBZ / Tax / ATL / TRAF6 / NF kappaB |
研究概要 |
Human T cell leukemia virus type I (HTLV-I) は成人T細胞白血病 (ATL) の原因ウイルスである。研究代表者は脱ユビキチン酵素ubiquitin specific peptidase 20 (USP20) がNF-κB経路を抑制し、ATL細胞の増殖を阻害することを報告した。これらの所見はUSP20の発がんメカニズムへの関与を示唆させる。本研究はHTLV-Iによる細胞不死化におけるUSP20とそのファミリーであるUSP33の詳細な機能解析を目的とし、NF-κB経路のみならず、細胞増殖や細胞死に関わる様々な経路における基質の同定とその機能制御メカニズムを明らかにすることを目的としている。 1. USP20/33の新規基質の同定と、USPsがその機能に与える影響 USP20もしくはUSP33との結合分子の同定を試み、USP20およびUSP33がDNA損傷応答分子と結合することを見出した。p53反応性レポーターベクターを用いて、ルシフェレースアッセイを行い、USP20とUSP33が上記シグナル伝達の活性化に関与していることが示唆された。現在その機序について解析を進めている。さらに、Usp20ノックアウトマウス、Usp33ノックアウトマウスを作成し、表現型を解析中である。 2. HBZ蛋白およびTax蛋白のユビキチン修飾の解析 HTLV-1 HBZ蛋白がTax同様ユビキチン修飾を受けているかどうかについて解析し、HBZは細胞内でユビキチン化されていることが明らかとなった。HBZの機能におけるユビキチン修飾の意義、また修飾の分子機構を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったUSP20/33 の新規結合分子を同定し、機能評価も順調に進んでいる。生体におけるUsp20およびUsp33の機能解析に重要である、各々のノックアウトマウスも樹立した。また、HTLV-1 HBZ タンパクがユビキチン化されることも見出しており、その発がんにおける意義についても解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 新規USP20/33結合因子の機能解析およびノックアウトマウスによるUSP20/33の機能解析 同定した新規のUSP20/33結合分子における、ユビキチン化、脱ユビキチン化修飾の生理学的意義、またUSPがその活性に及ぼす影響について解析を進める。また、Usp20およびUsp33のノックアウトマウスの表現型について評価を進める。 2. HBZにおけるユビキチン化修飾の意義 HBZの機能にユビキチン化修飾が及ぼす影響、また修飾の機構を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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