多発性骨髄腫の源となる骨髄腫幹細胞がB細胞中に存在するということが以前にいくつかのグル―プから報告され、骨髄腫治療の標的として注目されていた。本研究において、我々は、NOGマウス新生児への移植実験、あるいはSCID-rabモデルによる詳細な解析を行い、少なくとも我々の解析し得た多数の多発性骨髄腫症例においては、その源となるmyeloma-initiating cellがCD19+B細胞中ではなくCD19-CD38++形質細胞中に存在することを示した。骨髄中に存在する骨髄腫形質細胞は骨髄内に存在するストローマ細胞より強い生存支持を受けているため治療に抵抗性で治癒が極めて困難であると考えられる。そこで、本研究では、我々が自作した抗骨髄腫細胞モノクローナルライブラリーの中から、その生存支持機構を阻害するものをスクリーニングし、候補となる抗体を得た。さらに、その結合抗原をすでに発現クローニングにより同定した。
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