新規多発性骨髄腫細胞抗原CD48に対する新規モノクローナル抗体を多数作製した。それらの中でサルCD48にも交叉結合しかつIgG2aサブクラスをである4-15-2というクローンについて詳細な検討を行った。その結果、4-15-2は以前報告した抗ヒトCD48抗体(1B4)に比べ高いADCC惹起能を有し、また、骨髄腫細胞株OPM2に対する有意なin vivoでの増殖抑制効果を持つことを明らかにした。また、抗CD48抗体の多発性骨髄腫の治療における使用に関する特許(PCT/JP2010/056449)のライセンシング契約を海外製薬企業1社と締結した。さらに、新たな抗骨髄腫標的抗原として、骨髄内ニッチによる多発性骨髄腫細胞支持機構を阻害するモノクローナル抗体及びその結合抗原の同定を目指した研究を行った。自作した抗ヒト骨髄腫細胞抗体ライブラリーの中から、骨髄腫細胞が骨髄ストローマ細胞から受ける生存支持を阻害する能力を持つものとして、抗MM1(仮名)抗体を同定した。さらに、骨髄腫細胞に特異的な結合を示すことを指標にスクリーニングを行い、MM2(仮名)という新規骨髄腫抗原を同定した。いずれも、今までに抗体療法のターゲットとして報告されてはいない分子である。
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