研究課題/領域番号 |
23591387
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齊藤 則充 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30597399)
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研究分担者 |
柴山 浩彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60346202)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Anamorsin / PICOT / 鉄・硫黄クラスター / P53 / トランスジェニック / PKC / P38MAPK |
研究概要 |
Anamorsin(AM)は、抗アポトーシス分子としてB細胞性悪性リンパ腫を含む種々の腫瘍性疾患において、その病態形成に重要な役割をはたしている。また、我々はこれまでの研究において、AMはPICOTと結合し、PKCおよびp38MAPKの活性を制御していることを明らかにした。本研究においては、AM とPICOTの結合を阻害することで、その下流のシグナル伝達を抑制することが可能かどうか検討し、さらには、その結合阻害剤(ペプチド)が、AMが過剰発現する腫瘍において、抗腫瘍活性を示し、将来、新規の分子標的抗腫瘍剤として開発できる可能性があるかどうかを検討している。AMのYeastホモログのDre2とPICOT、およびそのYeastホモログのGrx3/4が鉄・硫黄蛋白であることより、AMもPICOTと結合し、鉄・硫黄蛋白として機能していると考えられた。PICOT KOマウスの表現型はAM KOマウスの表現型と酷似しており、ともにKO胎児は身体が小さく、肝臓も小さく、胎生後期に致死となる。IL-3依存性マウス造血細胞株のBa/F3に、AMのN末端フラグメントを過剰発現させ、AMとPICOTの結合を阻害すると、Ba/F3の増殖が低下することから、AMとPICOTの結合は、細胞増殖に必須であることが予想された。 AM トランスジェニック(Tg)マウスとP53 KOマウスを交配することで、AM Tg-P53KOマウスを作成したところ、P53KOマウスと比較し、生存期間が、平均で1ヶ月程度短縮し、腫瘍形成が、早く認められる可能性が示唆された。現在、AM Tg-P53KOマウスを増やし、できやすい腫瘍の種類などの検討をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Anamorsin Tg-P53KOマウスにできる腫瘍の詳細な検討のためには、マウスが腫瘍死する前に、腫瘍の出現を検出し、腫瘍の摘出および病理検査などをおこなっていく必要がある。しかし、これまでは、体表からわかる腫瘍ができた場合のみ腫瘍死の前にマウスの解剖ができる状況であり、大半は、腫瘍ができたことがわかる前に死亡してしまう。
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今後の研究の推進方策 |
FDG-PET/MRIをおこなうことが可能となったため、マウスが腫瘍死する前に、腫瘍の出現の有無を検出することが可能となった。また、B細胞性悪性リンパ腫の病態におけるAnamorsinの役割を明らかにするために、Anamorsin Tg-P53 KOマウスから得たBリンパ球を用いて、LPS刺激によるPKC、P38MAPKなどのシグナル伝達分子の活性化について検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するにあたり、現時点において、研究施設、研究設備はすでに、ほぼ整っているため、設備備品の購入予定はない。本研究に必要な経費は主に試薬・薬品代、培養液・培養器具代、マウス費の消耗品費用となる。試薬・薬品としては、ペプチド合成に必要な費用、シグナル伝達分子の解析をウェスタンブロット法でおこなうための抗体、プラスミドベクターの構築・精製のための制限酵素やMidi-prepキットなどである。培養液には、腫瘍細胞の培養に適したロットのFCSを含んでいる。また、本研究では、年間、百匹程度のマウスを用いて研究をおこなう予定である。 国内学会(日本血液学会あるいは日本癌学会)および国際学会(アメリカ血液学会あるいはヨーロッパ血液学会あるいはアメリカ癌治療学会)に参加し、研究を遂行するために必要な情報の収集や意見交換、また研究成果発表のための旅費として、それぞれ10万円と20万円を計上している。
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