研究課題/領域番号 |
23591387
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齊藤 則充 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30597399)
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研究分担者 |
柴山 浩彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60346202)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
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キーワード | Anamorsin / Picot / 鉄・硫黄クラスター / トランスジェニック / ERK1/2 / IkB / Bリンパ球 |
研究概要 |
Anamorsinは、抗アポトーシス分子としてB細胞性悪性リンパ腫を含む種々の腫瘍性疾患において、その病態形成に重要な役割をはたしている。また、我々はこれまでの研究において、AnamorsinはPicotと結合し、PKCおよびp38MAPKの活性を制御していることを明らかにした。 本研究においては、Anamorsin とPicotの結合を阻害することで、その下流のシグナル伝達を抑制することが可能かどうか検討し、さらには、その結合阻害剤(ペプチド)が、Anamorsinが過剰発現する腫瘍において、抗腫瘍活性を示し、将来、新規の分子標的抗腫瘍剤として開発できる可能性があるかどうかを検討している。 Anamorsinトランスジェニック(Tg)マウスの細胞を用いて増殖アッセイをおこなった。まず初めに、脾臓から単離したBリンパ球をLPSで刺激し、その増殖能を検討したところ、予想に反して、Anamorsin TgマウスのBリンパ球の増殖は、WTマウスのBリンパ球と比較して減弱していることが判明した。In vivoでLPSを投与した際も同様の結果であり、Anamorsin TgマウスのBリンパ球の増加反応は、WTマウスと比較して劣っていた。次にLPSで刺激した際のシグナル伝達分子の活性を、Western-Blotting法を用いて評価したところ、PKCおよびp38MAPKには差を認めなかったが、ERK1/2およびIkBのリン酸化は、Anamorsin TgマウスのBリンパ球において、低下していた。この結果から、Bリンパ球においてLPSで刺激した際のシグナル伝達におけるAnamorsinの作用点が明らかとなってきたので、今後、Anamorsin とPicotの結合阻害剤をスクリーニングする際の指標に用いることが可能となったと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、阻害物質のスクリーニング法がなかったが、AnamorsinとPicotの結合阻害剤をスクリーニングする際の指標となるアッセイ系が確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
マウスのBリンパ球を用いて、LPSで刺激した際のERK1/2あるいはIkBのリン酸化を指標として、そのリン酸化が亢進あるいは減弱する物質をスクリーニングし、AnamorsinとPicotの結合を阻害する候補物質を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度までと同様に、主に実験に用いる試薬代、培養液・培養器具代、マウスの飼育代として使用する。また、成果発表のための学会旅費および論文投稿料に使用する。
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