研究課題
私は先にRNAポリメラーゼIIホロ酵素複合体を構成する複合体メディエーターを発見し、同複合体が前イニシエーション複合体の生成に必須の基本的な転写コファクターであることを見出した。基本的である一方、メディエーターは特異的役割を併せ持ち、そのサブユニットMED1は核内受容体等の特異的コアクチベーターであることをこれまでに示している。造血を支えるニッチである骨髄間質細胞で、MED1が造血支持能に重要な役割を果たすこと、その機序として、MED1が発現に関与するオステオポンチンやFGF7がニッチ機能を担うことを前年度までに見出した。今年度は、まずFGF7による造血支持能の機序を明らかにした。FGF7受容体であるFGFR2IIIbは血液細胞に発現せず間質細胞に発現していた。また間質細胞はFGF7に反応して細胞内シグナル伝達が活性化した。以上のことから、間質細胞が発現するFGF7は自らをオートクリン機構によって活性化し、その結果として間接的に造血幹細胞を支持するものと考えられた。次に、同様の機序が白血病幹細胞にも存在するのかを、ニッチ依存性骨髄芽球性白血病細胞MB-1を用いて検討した。抗FGF7抗体によりFGF7をブロックすると、ニッチ細胞によるMB-1細胞の支持能は著明に低下し、幹細胞の性質である敷石構造の減少を認めた。以上より、FGF7による造血支持能は、正常細胞のみならず、腫瘍性造血細胞にも重要な役割を果たすことが強く示唆された。
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