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2011 年度 実施状況報告書

好酸球増多症候群に対する新しいバイオマーカーに基づいた診断と標準治療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23591389
研究機関神戸大学

研究代表者

定 明子  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (90467655)

研究分担者 松井 利充  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10219371)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード好酸球増多症候群 / チロシンキナーゼ / リン酸化プロテオミクス
研究概要

平成23年度には、FIP1L1-PDGFRA(F-P)キメラ遺伝子陰性の特発性好酸球増多症候群(HES) 症例の中のチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブ有効例が、無効例に比べてリン酸化チロシン蛋白発現がどのように違うかを検証した。まず、F-Pキメラ陰性HESのうちイマチニブ有効例と無効例、健常人の末梢血血球から抽出した可溶性蛋白を用いて抗リン酸化チロシン残基抗体でウエスタンブロット法を行ったところ、有効例では無効例や健常人と比較して明らかに高分子量のチロシンリン酸化蛋白の発現量が高く、高分子量蛋白である受容体型チロシンキナーゼの活性化が異なる可能性が示唆された。さらに、同様に患者検体からリン酸化ペプチドを抽出してnanoLC-MS/MSによるペプチド同定・定量解析を行ったところ、数十種類のリン酸化チロシン蛋白を含む千種類以上のリン酸化蛋白が検出され、イマチニブ有効例で増殖に関連するシグナル伝達経路の下流蛋白の高リン酸化がみられた。この方法は微量の患者検体からチロシンリン酸化蛋白を検出するのに適しており、F-Pキメラ陰性HESは症例毎にリン酸化シグナルのパターンが異なることが示された。また、複数検体でこのリン酸化プロテオームプロファイリングを行うと、クラスター分析でHES診断群と反応性好酸球増加症を含むHES以外の疾患群に大別された。さらに解析を行うことによりバイオマーカー候補が特定されHES患者の個別化も可能と考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述のように、HES個別化に向けた研究計画はおおむね順調に進行している。現在はリン酸化プロテオーム解析結果を統計学的手法により解析中であり、来年度までにはおおむね成果を出せる見込みである。

今後の研究の推進方策

(HESにおけるバイオマーカー分子の検索)リン酸化プロテオームプロファイリングによりHESとHES以外の疾患ではリン酸化蛋白の発現パターンが異なることが示されたため、個々の蛋白および、各種のシグナル伝達経路毎にどのような違いがあるかを統計学的手法により分析し、バイオマーカー候補となる分子を検索する。(シグナル伝達経路に特異的な遺伝子発現解析)症例・疾患群毎に蛋白リン酸化に違いがみられたシグナル伝達経路について、PCR arrayを用いて各伝達経路に特異的な遺伝子セットの発現を解析する。また、個々のバイオマーカー候補分子あるいはキナーゼについては、それぞれ分子特異的配列primer、degenerate primer を用いたPCR法でmRNAレベルの発現の違いを確認する。(バイオマーカーの検証)複数の新規に診断された症例とイマチニブ使用症例の検体を用いて上記手法を適用し、疾患の診断バイオマーカーとイマチニブ反応性関連バイオマーカーの候補がどの程度予測に該当するかを統計学的手法により評価する。

次年度の研究費の使用計画

研究費の多くは試薬などの消耗品に使用される。また旅費や論文投稿に関わる費用なども研究費より使用する。また、繰り越した予算で複数検体のPCR array解析を行う。

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公開日: 2013-07-10  

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