研究課題
1.HIF-1αトランスジェニックマウスに発生する腫瘍の解析HIF-1αトランスジェニックマウスの約80%に、リンパ増殖性病変が認められ、野生型マウスと比べ明らかに高率にリンパ増殖性疾患の発症を認めた。マウス脾臓、パイエル板由来のリンパ球を解析したところ、特にT細胞において長期培養において、アポトーシスの抑制傾向が認められた。また、HIF-1αトランスジェニックマウス由来リンパ球では、トポイソメラーゼ阻害剤などの抗がん剤に対する感受性が低下しており、薬剤耐性の傾向が認められた。また腫瘍組織における遺伝子発現をcDNAマイクロアレイを用いて行い、トランスジェニックマウスに発生するリンパ腫に共通する遺伝子のプロファイリングでは、T細胞、B細胞共に約200種類の遺伝子発現の行進が認められたが、それらのなかにアポトーシス関連遺伝子が多く含まれており、またHIF-1αの標的遺伝子である、EpoRやc-Mycなどが含まれていた。(Sueoka et al, PLOS ONE, 2013)(2)造血幹細胞に対するHIF-1αの作用に関する解析マウス骨髄細胞を単離し、造血幹細胞分画の割合をフローサイトメトリーにより解析した。生後1年以上のマウスにおいてはHIF-1αトランスジェニックマウスにおいて有意に造血幹細胞分画の増加が認められた。トランスジェニックマウス骨髄における幹細胞は高齢者マウスにおいて、野生マウスと比較して多い傾向が認められており、HIF-1αノックアウトマウスの解析結果を追試する結果が得られた。またBCR-ABLキメラ遺伝子の導入実験を用いて白血病発症モデルの系は確立し、発症までの期間、生存率の差について解析を進めている。イマチニブをはじめとしたチロシンキナーゼ阻害剤の投与による薬剤耐性化へのHIF-1の関与を解析する実験系を作成した。
すべて 2013
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Rinsho Byori
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