研究課題
低悪性度ATLとHTLV-1キャリアを併合解析し、共通の病態を持つ中間群を以下のように抽出し、その境界領域の臨床的意義を見出すことを目指した。平成23,24年度には典型的キャリア17例、非典型的キャリア12例(ATL様細胞が末梢血に5%前後)とくすぶり型ATL28例の末梢血を比較検討した。CD25とCCR4発現細胞比率、HTLV-1プロウイルス量、サザンブロット法によるHTLV-1のクローナリティ(Poly, Ologo, Mono)には相関があり、くすぶり型ATLと非典型的キャリアの其々一部は、オーバーラップしたこの3因子を示した。但しその特徴の下限・上限は、それぞれ典型的キャリア、典型的くすぶり型と連続性があった。キャリアと低悪性度ATLの境界領域を上記の3因子を合わせて同定できたので、平成25年度には低悪性度ATLの増悪様式について臨床および分子レベルで検討した。慢性型(C)またはくすぶり型(S)の90例中44例がWatchful waiting中に増悪した。その際全身状態(PS)の悪化を17例は伴っていた。増悪時の所見は、主要臓器浸潤21例、高Ca血症8例、血清LDH高値30例(S型6例、C型24例)、リンパ節病変29例で認められた(重複あり)。S型は増悪時にLDH上昇を伴わない症例が多かった(8/14)がC型では大多数の症例(26/30)でLDH上昇を伴っていた。増悪までの期間の中央値は18.4ヵ月(0.2-208.2ヵ月)、増悪後の生存期間中央値は7.6ヵ月(0.0-180.7ヵ月)であった。分子病態解析では、一部同一症例の増悪を含む慢性型と急性型のアレイゲノムとアレイ発現の解析によって、それぞれ細胞周期に重要ながん抑制遺伝子のCDKN2Aと免疫監視からの回避に重要なCD58の異常が同定された。
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The Journal of Dermatology
巻: 41(1) ページ: 26-8