研究課題
PU.1に結合している転写因子群の同定についてPU.1を発現したホジキン細胞株L-428細胞を大量に培養して蛋白をそこから抽出し抗PU.1抗体にて免疫沈降を行った。免疫沈降してきた蛋白をshotgun sequenceを行ってPU.1に結合している蛋白の候補を100前後見つけてきた。この中にはGemininやMCM7などのepigeneticな遺伝子発現調節やDNA複製に関わる遺伝子群が含まれていた。現在これらの蛋白の中で実際にPU.1と結合しているものの同定を進めているところである。一方、形質細胞でPU.1をknockoutしたマウスの表現系を解析した。50%以上のマウスにM蛋白血症を認めた。形質細胞への分化を促進するためにさらにNP-CGGでマウスを刺激するとM蛋白をもつマウスの割合が70%程度に増加した。これらのマウスのうち18-24ヶ月の高齢のマウスを調べると脾腫を認めるもの、腹腔内の腸間膜に腫瘍を認めるものが11 匹中7匹に認められた。これらの組織ではB220+の成熟B細胞が増殖しており、一部は形質細胞の増殖を認めた。従って、これらのマウスは成熟B細胞リンパ腫ないしは一部に骨髄腫様の病態が起こっていることがわかった。以上からPU.1が成熟B細胞及び形質細胞の腫瘍抑制因子である可能性が示唆された。成熟B細胞リンパ腫を認めた脾臓細胞を免疫不全マウスに移植すると著明な肝脾腫を来してマウスは1ヶ月以内に全例死亡したことからこの細胞が腫瘍であることが示された。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)
Int J Oncol
巻: 43(6) ページ: 1809-16
Blood
巻: 121 ページ: 962-970
10.1182/blood-2012-05-431429