研究課題
原発性骨髄線維症の約半数にJAK2変異が、10-17%にTET2変異がみられる。TET2欠損マウスの解析より、TET2の5mCを5hmCに変換する酵素活性が正常の約20%程度に低下すると、末梢血単球数、脾臓重量のわずかな増大、肝脾、肺における軽度の髄外造血を認めることに加え、造血幹細胞活性が亢進していることを見出した。試験管内でのコロニー形成細胞を継代すると、野生型細胞では継代2-3代目にコロニー形成能を消失するのに対し、TET2欠損細胞は7代以上の継代が可能であった。さらに、TET2欠損造血幹細胞を野生型由来細胞と競合移植した場合、レシピエントマウスは末梢血の増加などは認めないものの、その造血の大部分はTET2欠損細胞により占められていた。つまり、骨髄増殖性腫瘍のクロナリティ―の獲得にはTET2の機能喪失が重要であることを明らかにした。これに加え、変異JAK2発現マウスの造血幹細胞では、野生型マウスのそれと比較し、HOXB4、TGF-b1の発現が亢進していることを見出した。HOXB4は、その過剰発現により造血幹細胞の自己複製能を亢進させることがすでに報告されており、TET2変異による造血幹細胞活性亢進とあわせて、骨髄増殖性腫瘍の発症に関与していると考えられた。ただし、変異JAK2発現トランスジェニックマウスは骨髄増殖性腫瘍を発症するものの、変異JAK2発現細胞は長期の増殖能を有しておらず、野生型細胞との競合移植実験では、レシピエントマウス体内でJAK2陽性細胞は減少、消失する。ところが、TET2変異とJAK2変異の両者を有する細胞は、連続競合移植実験を行うと野生型細胞に較べ長期の増殖優位性を有しており、この2種類の変異が生じることにより骨髄増殖性腫瘍が発症することを明らかとした。
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