研究課題
多発性骨髄腫における染色体異常は極めて多様であり、その解析は、骨髄腫の発生・進展機序の解明に有用である。本研究は、アレイCGH法を用いたゲノム構造解析と、次世代シークエンサーを用いた全ゲノム領域のDNA異常メチル化解析とを組み合わせ、ゲノム・エピゲノム異常を包括的に解析し、発がん・病態進展に関連する標的遺伝子を探索することを目的とする。1)多発性骨髄腫の臨床検体の収集:当科で保有する臨床検体から核酸を抽出する。すなわち、各症例における骨髄穿刺液の単核球成分をFicollを用いて分離し、magnetic activated cell sorting (MACS) 法で抗CD138 magnetic beadsを用いて骨髄腫細胞を選択し、核酸抽出を行った。さらに検体収集と臨床情報の解析を進めている。2)ゲノム構造の解析微細なゲノム構造異常のハイスループット解析を可能としたアレイCGH法と、ヒトゲノムの約42%を占め可動遺伝因子の一種であるレトロトランスポゾンのDNA低メチル化に着目し、多発性骨髄腫における染色体不安定性とレトロトランスポゾンのDNAメチル化との関連を検討している。レトロトランスポゾンは,ゲノム上に繰り返し現れる同一の配列である反復配列に分類されており、長鎖散在反復配列(long interspersed nuclear element:LINE)と短鎖散在反復配列(short interspersed nuclear element:SINE)を有するものがある。アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション法(Array Comparative Genomic Hybridization:aCGH)を用いて染色体異常を分析し、メチル化との関連を検討している。その結果、正常形質細胞と比べて、MGUS、多発性骨髄腫へと進展するにつれてLINE-1の低メチル化を認めている。
2: おおむね順調に進展している
これまでに正常形質細胞と比べて、MGUS、多発性骨髄腫へと進展するにつれてLINE-1の低メチル化が存在することが判明した。現在染色体異常とメチル化の関連と、予後について検討中である。
これまでの研究でMGUS、多発性骨髄腫へと進展するにつれてLINE-1の低メチル化が存在することが判明した。今後、染色体異常とメチル化の関連と、LINE-1の低メチル化と予後について検討する予定である。
DNAアレイ、プライマー、RNA抽出キット、DNA抽出キット、Real-time PCR、抗体(WB、FACS、MACS、IHC、ELISA)、プラスチック器具、細胞培養液・FCS、アザシチジン、デシタビン等の購入に使用する予定。
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