研究課題/領域番号 |
23591408
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高久 智生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20408256)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 共焦点顕微鏡 / 骨髄内神経ニッチ / サーカディアンリズム / 造血幹細胞 / 骨髄3次元構造 |
研究概要 |
骨髄における造血は、血流中の可溶性ファクターおよび自律神経によって厳格に制御されており、その生理学的作用過程は決して一様ではなく、むしろ日内変動により非常に多彩である。サーカディアンリズとは24時間周期で変動する生理現象を示しており、生物は生態を維持する為に必要とされる生理学的ニーズをあらかじめ予測し、かつその生理機能を調節している。そして、近年、造血幹細胞の遊走、増殖、分化において、生態学的な体内時計が関与している事が報告されている。本研究では骨髄内の神経組織の走行、および生態内のサーカディアンリズムを司る交感神経に注目し、β3アドレナリン受容体を介した造血幹細胞の制御機構を、共焦点顕微鏡およびソフトウェアを用いて解析する事を目的としている。造血は神経組織、特に交感神経による影響を受けていると考えられること、現在までに骨髄内の神経組織分布に関する報告はない事から、第1段階としては神経組織の可視化を試みた。具体的には中枢および末梢神経組織に豊富なNeuron specific beta3 Tublinに対する抗体を購入し、マウス骨髄内の神経組織の可視化を試みた。しかし、良好な蛍光発色が得られず抗体の濃度条件設定および固定処理をパラホルムアルデヒドからエタノールに変更するも、背景ノイズおよび細胞膜の破壊が強く、最終的にはパラホルムアルデヒドによる短時間固定処理にて一定の蛍光を得る事が出来た。しかし、神経組織の密度は予測よりも少なく、抗体を変更し検証を行った。変更後に固定法に関しても再度の検証を行い最終的には同様の結果を得ていることから、神経組織の染色に関しては一定の成果を得られた。ただし、Tublinによる染色は依然として不十分である可能性が否定できないことより、ここでさらにneurofilamentおよびGFAPなどの他の神経組織に対する抗体を用いた検証を現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の初期段階における、克服しなければならない大きな点の一つが抗体の選択および染色時間・抗体濃度および固定法の設定および検証である。また、現在までに具体的な骨髄の神経組織のネットワークに関する報告がないということは、陽性コントロールが無い事をしめしており、この状況での検証に関しては慎重に行う必要があると判断し、現在でも種々の条件設定を変更し検証を行っていることが、進捗が遅れてしまっている主な原因であると考えている。この他にもSDF-1に対する検証も必要であり、神経組織に対する抗体と平行して検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
初期段階としての抗体の検証を行っているが、一定以上の成果を得ておりマウスを用いてデータを採取してゆく段階となれば、今後は進捗を早めることが出来ると考えられている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究費の使用計画としては、更なる抗体の購入。および現時点では進捗状況の遅れによって、解析の段階まで至っていないことから購入が遅れてしまっている、画像処理および解析に関わる費用として使用する予定である
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