研究課題/領域番号 |
23591410
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
山本 幸也 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90410703)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 急性前骨髄性白血病 / 急性骨髄性白血病 / 転写因子 / がん抑制因子 |
研究概要 |
1、BCOR-RARA発現発現白血病細胞株の樹立:BCOR-RARA遺伝子をレトロウィルスベクターに組み換えて白血病細胞株U937に遺伝子導入した。puromysin耐性細胞を選択し蛋白発現をウェスタンブロット法にて解析したが明らかな導入蛋白の発現が確認できなかった。またTet-on, Tet-offによるinducibleな発現システムをU937細胞株に導入したが同様の結果であった。2、BCOR-RARAトランスジェニックマウスの作製:人細胞株よりカテプシンGプロモーター部分をPCRで増幅しクローニングした。この遺伝子にGFP遺伝子を組み込みマウス骨髄細胞株での発現をテストしたが有意な発現が確認できなかった。3、2011年末にAML患者検体からBCORおよびそのファミリーに含まれるBCORL1遺伝子に異常があることが相次いで報告された。我々の施設で収集した約100例のAML患者検体を用いてBCORファミリー遺伝子異常の頻度、病型、治療反応性について検討を開始した。4,急性前骨髄性白血病遺伝子FIP1L1-RARAの新たな症例の報告がなされたが詳しい機能解析についての報告はなされていない。このため我々の以前行った測定系を用いて2種類のFIP1L1-RARAの機能解析を行った。共免疫沈降法を用いてFIP1L1またはRARA単独ではself-associationしないことを確認したのに対して、2種類のFIP1L1-RARAでは強いself-associationを示すシグナルが確認された。この責任ドメインを決定するためにdeletion mutantを複数作製して共免疫沈降法を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1、BCOR-RARA発現発現白血病細胞株の樹立:MSCVプロモーターを用いたベクターでは有意な蛋白の発現が検出されなかった。原因としては蛋白発現が細胞毒性を持つ、サンプル調整時に分解する、プロモーター発現が弱い、測定系の感度が引くことが考えられる。この細胞株モデルが樹立できないために解析が遅れている。2、BCOR-RARAトランスジェニックマウスの作製:すでに報告のある研究者にカテプシンGプロモーターベクターの供与を申し出たが進展していない。また予算的に外部に委託するのには予算が足りない可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
BCOR-RARA発現発現白血病細胞株の樹立を方法を変更することにより確立する。可能であればトランスジェニックマウスからマウス造血前駆細胞を用いた遺伝子導入を行い、コロニーアッセイやマウス移植モデルを用いて白血病の有無について検討する。AML患者検体を用いてBCORファミリー遺伝子異常の頻度、病型、治療反応性について検討をすすめる。急性前骨髄性白血病遺伝子FIP1L1-RARAの機能解析を更にすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、BCOR-RARA発現発現白血病細胞株の樹立:E2Fプロモーターを持つレンチウィルスベクターに組み換える、サンプルバッファーにプロテアソーム阻害剤を加える、細胞株を32D細胞に変更することを計画している。G-CSFを用いた分化誘導系、マウス造血前駆細胞を用いたコロニーアッセイ、マウス移植モデルを用いて白血病の有無について検討する。3,次世代シークエンサーMiSeq(Illumina社)Custom Amplicon Sequencingシステムを用いてBCOR、BCORL1、PCGF1遺伝子異常の有無について解析する。同時にNPM1, FLT3, CEBPa, IDH, DNMT3aの遺伝子異常と臨床データの相関についても解析する。4,FIP1L1-RARAの機能解析:DNA結合解析、転写活性解析、細胞内局在解析、細胞株およびマウス造血前駆細胞を用いたコロニーアッセイ、マウス移植モデルを用いて白血病の有無について検討する。
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