研究概要 |
1、ウイルスベクターを用いたBCOR-RARA発現システムの確立:レンチウィルスベクターでのキメラ遺伝子発現系はセレクションマーカーで選択後に発現を確認しているが、実験の効率にばらつきがある。マウス造血肝細胞への遺伝子導入には安定した実験系の構築にはウィルスタイターの標準化が必要となっている。また、BCR-ABLも比較のため使用する。 2、臨床サンプルを用いたBCOR, BCORL1遺伝子異常の検出系の構築:FLT3, NPM1, CEBPA遺伝子の異常が検出されないAML患者検体の10例についてサンガーシークエンスで配列を調べた。しかしこの中では異常が検出されなかった。coding sequenceが6000kbと長い遺伝子でありdirect sequenceでは効率が悪いと考えられた。遺伝子異常のスクリーニングとしてhigh resolution melting法の使用を検討するため ABI 7900HTリアルタイムPCR機を用いて、コントロールとしてTP53遺伝子を標的に測定系の検討を行っている。 3、FIP1L1-RARAの機能解析:共免疫沈降法を行ってFIP1L1-RARAのself-associationを確認した。各ドメインを欠損させたサンプルを作成し、mycとFLAGタグで免疫沈降して共沈するかどうかを検討した。予想に反していずれも共沈しており、単独のself-association責任ドメインの特定には至らなかった。 4、BCORの異常とがんに関連した知見のレビュー:この数年にBCOR, BCORL1遺伝子異常が各種がんに検出されることが多数報告されるようになったため、現時点での知見をまとめて総説として発表した。
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