研究実績の概要 |
当院での臨床検体を用いて急性骨髄性白血病と骨髄異型性症候群におけるBCOR遺伝子変異をサンガー法を用いてBCORエクソン全長の遺伝子シークエンスを試みた。しかし、サンガー法におけるバックグラウンドノイズの存在が頻度の低い変異を検出するのに不都合であった。そこで次世代シークエンサーを使用してAmplicon sequenceを行う事により、より高感度に遺伝子変異を検出できる方法を試みた。BCOR遺伝子領域はゲノム上で約26000bpsあるが、これを5つの領域 (483 – 4495bps) に分割し, 高正確性PCR酵素であるKODを用いて増幅した。またコントロールとしてTP53遺伝子領域を2912と455bpsに分割して同時に増幅した。これらを混合してライブラリー化し、Illumina Nextera XTキットを用いてDNA断片化とindex付加を行った。シークエンスはMiSeq Reagent Micro Kit v2 (1.2Gb /24 sample)を用いて行った。データ解析はCLC bio Cancer Research Workbenchを用いて行った。50例の解析では平均カバレッジは1000前後であり低頻度の異常を十分に検出可能と考えられた。結果:TP53: G266fs*79, R280S, I255N, V143M, H178fs*3, C238Fが19.1%から82.9%の範囲で検出された。BCOR: Asp284Glu, Ser830fs, Gln1074*, Ala1121Gly, Asn1353Aspが5.1%から46.5%の範囲で検出された。現在、100例まで検体数を増やして解析を進めている。
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