研究課題/領域番号 |
23591416
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田所 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80403062)
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研究分担者 |
冨山 佳昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80252667)
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インテグリン / 血小板 |
研究概要 |
本研究の意義は、インテグリン活性化制御を担うインテグリン活性化複合体(IAC)に注目してインテグリン活性化制御シグナルを詳細に検討し、インテグリンと細胞外基質との相互作用が関与する疾患の発症機序および増悪化の機序を解明することである。平成23年度はIACを構成するtalin-1とkindlin-3に注目して、ヒト巨核球系細胞株であるCMKにおけるインテグリンαIIbβ3の活性化を解析した。今年度、新たに、gene-silencingの手法を用いて目的分子の発現をknock-downさせたクローン化CMK細胞株を作成することに成功した。これらのクローン化CMK細胞株にIACを構成するいくつかのkeyとなる分子を発現させ、インテグリンαIIbβ3の活性化を評価した。これまで注目されていた、talin-1とkindlin-3の役割に、新知見を加えることができた。この研究成果は、2011年に開催された2つの国際学会The XXIII Congress of the International Society on Thrombosis and HaemostasisとSpecial Symposium on the Basic Science of Hemostasis and Thrombosis, The American Society of Hematology 53rd Annual meetingにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養巨核球を用いたtalin-1、kindlin-3、α-actinin、VASPなどインテグリン活性化複合体(IAC)の機能解析が、今年度、新たに成功した目的分子の発現をknock-downさせたクローン化CMK細胞株の作成によっておおむね順調に進んでいる。これらの細胞にIACを構成するいくつかのkeyとなる分子を発現させ、インテグリンの活性化を評価することが可能となった。その成果の一部は国際学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24度はtalin-1、kindlin-3とインテグリンとの結合およびインテグリンの活性化を担うアミノ酸残基、α-actininとインテグリンとの結合部位、ならびにインテグリンの活性化を制御するα-actininの残基を同定する。それぞれのアミノ酸をalanineやphenylalanineに置換した変異型talin-1、kindlin-3、α-actinin、β3 tailを発現ベクターに組み込み、巨核球細胞株であるCMK細胞におけるインテグリンの活性化を解析する。Chinese Hamster Ovary細胞やHEK293細胞ではtalin head domainを過剰発現させるとインテグリンαIIbβ3が活性化する。しかしながら、CMK細胞ではアゴニストのシグナルが入らないとtalin head domainを過剰発現させてもインテグリンαIIbβ3は活性化しない。血小板や培養巨核球同様、CMK細胞におけるインテグリンαIIbβ3は非活性化型がdefault状態である。なぜこれらの細胞ではアゴニストのシグナルが入らないとαIIbβ3が活性化しないのかについて解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養に必要な試薬、遺伝子導入のための試薬と発現ベクター、インテグリンの活性化の評価に用いる抗体(PAC-1など)の購入を予定している。
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