研究課題
平成24年度は、新たにgene-silencingの手法を用いて、目的分子の発現をknock-downさせたクローン化CMK細胞株を作製することに成功した。Talin-1とkindlin-3はインテグリン活性化複合体(IAC)を構成するインテグリン活性化のkey分子であるが、それらを欠損したCMKを用いて、インテグリンαIIbβ3 の活性化を解析したところ、kindlin-3はtalin-1によるαIIbβ3 の活性化のco-factorであることが明らかとなった。この研究成果は、Experimental Hematology. 2013Jan ; 41(1): 79-90.に発表した。この成果を基盤に、創薬への実用化に向けて、低分子コンパウンドの配列決定のため、talin-1やkindlin-3とβ3 インテグリンとの結合部位を阻害するパルミチル化ペプチドを作製してインテグリンαIIbβ3 の活性化のメカニズムの詳細な検討を進めている。また、Pf4Cre-LoxP systemを用いた巨核球-血小板系のコンディショナルノックアウトマウスの解析やコンディショナルノックアウトマウスの骨髄から巨核球を培養し、巨核球、血小板の機能を解析することに成功し、巨核球-血小板におけるMcl-1 and Bcl-xLの役割をCell Death Differ. 2012 Nov;19(11):1856-1869.に発表した。
2: おおむね順調に進展している
インテグリン活性化複合体(IAC)のkey分子によるインテグリン活性化制御機序を解明することができ、学術集会や学術誌に発表することができた。また、本研究課題で確立した手法を用いて、共同研究で血小板-巨核球の細胞死に関する新たな治験を得ることができ、学術集会や学術誌に発表した。
インテグリン活性化制御を担うIAC構成分子の発現をknock-downさせたクローン化CMK細胞株を順次作製する。さらには、インテグリン活性化を制御する低分子コンパウンドを作製し、創薬への実用化をめざすべく、talin-1、kindlin-3、α-actininとβ3インテグリンとの結合部位を阻害するパルミチル化ペプチドを用いて、インテグリン活性化制御機序の解析を進めていく。Chinese Hamster Ovary細胞やHEK293細胞ではtalin head domainを過剰発現させるとインテグリンαIIbβ3が活性化する。しかしながら、CMK細胞ではアゴニストのシグナルが入らないとtalin head domainを過剰発現させてもインテグリンαIIbβ3は活性化しない。血小板や培養巨核球同様、CMK細胞におけるインテグリンαIIbβ3は非活性化型がdefault状態である。なぜこれらの細胞ではアゴニストのシグナルが入らないとαIIbβ3が活性化しないのかについて引き続き検討する。
細胞培養に必要な試薬、遺伝子導入のための試薬と発現ベクター、インテグリンの活性化の評価に用いる抗体(PAC-1など)やインテグリンとの結合部位を阻害するパルミチル化ペプチドの購入を予定している。
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Exp Hematol.
巻: 41(1) ページ: 79-90
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10.1038/cdd.2012.88.