研究課題/領域番号 |
23591417
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 伸治 岡山大学, 大学病院, 講師 (60362977)
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研究分担者 |
谷本 安 岡山大学, 大学病院, 講師 (60284098)
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キーワード | 閉塞性細気管支炎 |
研究概要 |
平成24年度においては、平成23年度に引き続き岡山大学血液腫瘍内科における同種造血細胞移植患者の中で書面による同意を得られた患者より、移植前および移植後の血清、末梢血単核球、および呼気濃縮液の採取、保存を行った。平成24年度末までに計27名の患者より計72タイムポイントでの検体採取が可能であった。 これまでに患者14名分の移植前検体をBio-Plex Proサイトカインアッセイキット 27-Plexを用いたサイトカイン・ケモカイン測定が終了した。その結果、血清においては多くのサイトカインおよびケモカインが測定可能であったものの、呼気濃縮液においては、IL-1Rα, IL-9,Eotaxin, GM-CSF, IP-10, MCP-1が測定可能、それ以外に関しては検出限界前後あるいはそれ以下の測定値であった。この結果は、5名の健常人ドナーより採取した血清、末梢血単核球、呼気濃縮液における測定値と有意な差を認めなかった。この結果から、血液疾患患者の移植前においては、化学療法や免疫抑制療法後であったとしても、血中および呼気中のサイトカイン・ケモカインにおいては健常人同様であり、移植前のこれらの結果から閉塞性細気管支炎の発症を予測するのは困難と考えられた。 一方、同種移植後のドナーリンパ球輸注後(DLI)の肺障害を発症した患者より、血清、呼気濃縮液を採取し同様の検討を行った。子の結果、DLI後の肺合併症のサイトカインプロファイルは、通常移植後早期に発症する特発性肺炎症候群と酷似してることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血清、末梢血単核球、呼気濃縮液保存に関する当院倫理委員会の通過に時間を要したこと、移植患者全例から同意が得られていないことにより、検体の集積が当初の予定より遅れている。そのため、まだ半数の症例の検体のアッセイに留まっている。 また、閉塞性細気管支炎(BOS)関連遺伝子候補に対する液性免疫反応の検討については、準備段階である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度使用額の1,058,805円が生じた理由として、前項にも述べたように検体集積が当著の予定より遅れていることが挙げられる。本研究は一定の検体数が集積された後に、まとめて行うアッセイ系であるため、24年度に行う予定であった実験に必要なキットの購入が限定されたため、このたびの研究費が生じた。 今後、検体数の集積を進めるが、特にこれまでの検体採取を行った27名中、2名が閉塞性細気管支炎(BOS)を、2例が特発性肺炎症候群(IPS)を発症している。これらの症例における血清および呼気濃縮液中の継時的なサイトカイン・ケモカイン濃度を測定し、同種移植後の非感染性肺合併症の発症を前もって予測できるバイオマーカーの有無を今後検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
BOS関連遺伝子候補(type V collagen, K-α1 tublin, P2RX7)のELISA kitの購入 Bio-Plex Proサイトカインアッセイキット 27-Plexの追加購入 など
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