研究課題/領域番号 |
23591418
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
近藤 英生 岡山大学, 大学病院, 助教 (30379747)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / CTL / 同種造血幹細胞移植 |
研究概要 |
1) 健常人CMV既感染者におけるCMVpp65抗原特異的CTLが拘束される免疫優位(Immunodominant)なHLAアリルの検索 健常人血液検体および患者血液検体収集のためプロトコールを作成。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会に申請し、承認を受けた。現在までに、1組のHLA一致血縁者間造血幹細胞移植患者、ドナーより同意を得て、移植前検体を保存した。 日本人のHLAクラスIアリル頻度5%(10人に一人)以上のHLAクラスIアリルのうち、CMVpp65由来エピトープが既知であるものをHLA-A18種類、HLA-B14種類、HLA-Cw4種類のペプチドを合成し、IFNγELISPOT法を行った。以前の研究により、自身のもつHLAクラスI拘束性pp65由来ペプチドが全て既知であり、かつ免疫優位なエピトープが分かっているCMV既感染健常者から得られたリンパ球について、このドナーのもつHLAクラスIに提示される合成ペプチド5種類でIFNγELISPOTを行ったところ、HLA-B*15:01拘束性ペプチドについてのみ反応が見られた。この反応は、末梢血非刺激CD8分離リンパ球を自己CD40活性化B細胞を抗原提示細胞として用いた時のみ観察可能であり、PBMCに直接添加した場合、CD8リンパ球のみの場合ではスポットが観察できなかった。免疫優位なエピトープが分かっておらず、HLAアリルのうち半分のみが既知エピトープであるCMV既感染者より得られたリンパ球を用いて、同様の実験を行ったがスポットは確認できなかった。残りのHLAアリルが免疫優位であると考えられ、現在CTL株樹立およびエピトープ同定を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理委員会提出用のプロトコール作成、およびELISPOT assayの条件設定に時間がかかり、当初目標としていたエピトープ同定が終了していない。現在検体集取を開始できており、研究は進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
下記計画に基づき、研究をすすめる予定である。造血幹細胞移植後患者におけるCMVpp65抗原特異的CTLのモニタリングにおいては、まず血縁者間造血幹細胞移植のドナー、レシピエントペア(双方ともCMV既感染者)において、CMVpp65抗原特異的CTLモニタリングを行い、その知見を基に、非血縁者間造血細胞移植患者に拡げていく予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)健常人CMV既感染者におけるCMVpp65抗原特異的CTLが拘束されるImmunodominantなHLAアリルの検索(平成23年度より継続)2)新規CMVpp65抗原由来エピトープペプチドの同定1)で樹立されたCTLのドナーが既に同定されたHLAアリル以外を有する場合は、新規エピトープの同定を試みる。樹立された抗原特異的CD8+T細胞をクローン化し、HLA拘束性、認識するエピトープを以前発表した方法(Kondo et al., Blood 2004)を用いて同定する。3) 造血幹細胞移植後患者におけるCMVpp65抗原特異的CTLのモニタリング当院における同種造血幹細胞移植後の患者末梢血中のCMVpp65特異的CTLの動態を解析する。既知および新規同定したCMVpp65抗原エピトープペプチドを用い、患者または幹細胞移植ドナーの有するそれぞれのHLAアリルに提示されるペプチドまたはoverlapping peptideを末梢血単核球にパルスし、反応性をIFN-γ ELISPOT法にて解析する。
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