研究課題/領域番号 |
23591419
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東 太地 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10396252)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞免疫療法 / 造血器腫瘍 |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)に対して、Aurora Kinase A(AUKRA)を標的とした分子標的療法と細胞免疫療法のハイブリッド治療を確立するべく研究を進めている。患者ATL細胞が、新規AURKA-阻害剤(MLN8237)によって用量依存的に増殖抑制が認めらることを見出した(未発表データ)。一方で、HLA-A*0201拘束性AURKA207-215 epitopeを認識するCTLクローンを樹立しT細胞受容体遺伝子を単離して正常Tリンパ球に移入した人工CTLの効果を確認した(Blood, 2012)。しかし、HLA-A*0201は日本人の10%程度の頻度であることから、HLA-A*0201陽性ATL細胞の入手が困難で、ATL細胞に対する細胞傷害活性の評価が難しい。そこで、「ATLに対して共通分子を標的とした分子標的薬と細胞性免疫療法の併用療法の確立」と言う原点に立ち返り、AUKRAの検討と並行して、human telomerase reverse transcriptase(hTERT)の検討を開始した。臨床的に入手可能な分子標的薬Bortezomibとの併用を想定して検討を開始した。まずATL細胞がhTERTを過剰発現する事実を明らかにした。次にBortezomibが用量依存的にATL細胞増殖を抑制する事を確認した。我々はHLA-A*2402拘束性hTERT由来epitope(hTERT463-471)を以前同定しており、また、HLA-A24拘束性にそれを認識するTCR遺伝子をクローンから単離し、治療的TCR発現効率を向上させたhTERT-siTCRレトロベクターを愛知がんセンター・タカラバイオ(株)と共同開発した。現在、ATLに対するHTERT特異的人工CTLを作成して、その抗腫瘍効果をin vitro及びin vivoで詳細に検討を重ねて有望な結果を得つつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定したAURKAの検討はA24拘束性CTLクローンが樹立出来ていないため遅れているが、同一コンセプトの基にATLに対する新規細胞免疫療法の標的抗原hTERTを明らかにし、次世代型レトロウイルスベクターを用いてTCR遺伝子を導入して作成した人工CTLのATLに対する抗腫瘍効果を示すことが出来てきている。Bortezomibとの併用による分子標的薬と細胞免疫療法の融合した新たな治療法の確立の可能性を検討出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ATL患者細胞に対するhTERT-siTCR導入T細胞の有効性を、ATL細胞を移植したヒト化マウスの系を用いてさらに検討を進め、臨床試験への橋渡しを進める。AURKAに関しても、HLA-AA24拘束性CTLクローンの樹立を是非とも達成して、日本人に対する汎用性を高めたい。また、現在、骨髄性白血病を中心に進めているAURKAペプチドワクチンの臨床試験の進捗を見て、ATL患者を対象とした臨床試験を計画したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養にかかる培養器具・培養液・抗体など、さらには細胞傷害assayにかかるラジオアイソトープなどの消耗品、遺伝子導入にかかわる試薬など中心に研究費の使用を検討している。マウス系を用いたin vivoでの抗腫瘍効果も計画しており、それらにかかる費用、さらには学会発表や打ち合わせにかかわる交通費・印刷費など必要である。
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