研究課題/領域番号 |
23591420
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
羽藤 高明 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (30172943)
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研究分担者 |
安川 正貴 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60127917)
山之内 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10423451)
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キーワード | 血小板 / アポトーシス / 骨髄異形成症候群 |
研究概要 |
私どもは血小板アポトーシス制御因子であるBak/Bcl-XL系の異常によって血小板数の異常をきたす疾患があるのではないかと考え、骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象にBakおよびBcl-XL遺伝子の塩基配列解析を行った。36名のMDS患者からDNAを抽出してBakおよびBcl-XL遺伝子配列を決定したところ、Bak遺伝子には既知のsingle nucleotide polymorphism(SNP)以外には異常を認めなかったが、Bcl-XL遺伝子にはT69P, S72T, S74T, G147C, E153Dの5つの異常を認めた。そこで、これらの異常がアポトーシス異常に関連しているのかどうかを明らかにするために各遺伝子変異を導入したpcDNA3発現ベクターを作成し、ヒト細胞であるT293細胞で発現させて、Annexin Vなどのアポトーシスマーカーの変化と細胞増殖を観察した。その結果、これらの遺伝子変異の導入によってアポトーシスは誘導されなかった。BcL-XL遺伝子は抗アポトーシス因子であり、Bcl-XLの機能不全はアポトーシスが亢進して血小板寿命を短縮させることが予想され、MDSによる血小板減少の一因になっているかもしれないと考えられるので、引き続き、MDS患者での遺伝子異常を検索していくことにしている。一方、Bcl-XLの機能亢進またはBak遺伝子機能不全はアポトーシス防止に働いて血小板数増加を将来する可能性が考えられるので、本態性血小板血症の患者においてもBakおよびBcl-XL遺伝子配列の検討を行っている。本態性血小板血症の約半数はJAK2遺伝子変異が原因であることが判明しているので、JAK2変異陰性の患者を対象に検討を進めることとした。現在までにJAK2陰性であることを確認した6名の本態性血小板血症患者についてBakおよびBcl-XL遺伝子配列の決定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
私どもは血小板アポトーシス制御因子であるBak/Bcl-XL系の異常によって血小板数の異常をきたす疾患があるのではないかと考え、骨髄異形成症候群(MDS)患者を対象にBakおよびBcl-XL遺伝子の塩基配列解析を行った。36名のMDS患者からDNAを抽出してBakおよびBcl-XL遺伝子配列を決定したところ、Bak遺伝子には既知のsingle nucleotide polymorphism(SNP)以外には異常を認めなかったが、Bcl-XL遺伝子にはT69P, S72T, S74T, G147C, E153Dの5つの異常を認めた。そこで、これらの異常がアポトーシス異常に関連しているのかどうかを明らかにするために各遺伝子変異を導入したpcDNA3発現ベクターを作成し、ヒト細胞であるT293細胞で発現させて、アポトーシスマーカーを観察したが、現段階ではアポトーシスを誘導する遺伝子異常は見つかっていない。一方、Bcl-XLの機能亢進またはBak遺伝子機能不全はアポトーシス防止に働いて血小板数増加を将来する可能性が考えられるので、本態性血小板血症の患者においてBakおよびBcl-XL遺伝子配列の検討も行っている。本態性血小板血症の約半数はJAK2遺伝子変異が原因であることが判明しているので、JAK2変異陰性を確認した6名の患者を対象に検討を進めている。当初の計画において、これら血小板数異常患者の遺伝子解析を進め、異常が見つかれば蛋白発現実験で確認することにしていたが、幸いにも遺伝子異常のある患者が見出され、解析を進めることができた。しかしながら、アポトーシスを誘導した遺伝子異常を同定することはまだできていない。引き続き、遺伝子解析を継続し、発現実験で確認して行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、骨髄異形成症候群および本態性血小板血症患者のBakおよびBcl-XL遺伝子解析を進めていく。また、トロンビンなどで活性化された血小板とアポトーシスに陥った血小板との生化学的差異についても検討を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析および培養細胞系を用いた変異蛋白発現実験を行う予定である。また、これらの成果を学会で報告することを予定している。
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