研究課題/領域番号 |
23591422
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
緒方 正男 大分大学, 医学部, 講師 (10332892)
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研究分担者 |
佐藤 隆子 大分大学, 医学部, 研究補佐員 (90420645)
幸野 和洋 大分大学, 医学部, 助教 (80420644)
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
高野 久仁子 大分大学, 医学部, 医員 (20617427)
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キーワード | HHV-6 / HHV-6脳炎 / サイトカイン / interleukineー6 |
研究概要 |
HHV-6脳炎は同種造血細胞移植後のHHV-6再活性化に伴う予後不良の合併症である。HHV-6の再活性化は約半数の移植症例に観察されるにも関わらず、脳炎を発症するのはその一部である。HHV-6脳炎は生着前免疫反応や生着症候群が発症に先行することが多いことより、脳炎発症には再活性化のレベルのみでなく、特有の炎症状態が関連している可能性がある。移植早期の炎症状態と脳炎発症との関連に検討を行っている。 現在までHHV-6脳炎発症例18例を含む移植症例170例について移植後早期 (day 28以内) のHHV-6 DNA及び17種類のサイトカイン、ケモカインの動態について測定を行った。 HHV-6脳炎はすべて血漿HHV-6 DNA高レベル (10000 copies/mL以上) のピークに一致して発症していた。 サイトカインの動態解析では脳炎発症例では非発症例に比較して一部の症例で発症一週間前にIL-6、IL-8、IL-10、IL-13、MCP-1、MIP1bのスパイク状の上昇が観察された。しかし上昇が全く見られない症例もみられ、サイトカインストームが発症に必須ではない可能性が考えられた (IL-6中央値83 pg/mL, 範囲 1.2-2713 pg/mL)。一方IL-6は発症例の重症度や予後に関連していた。すなわちpeak IL-6が中央値以上であった症例では5/9 (78%) が死亡し、一方中央値未満であった症例での死亡率は2/9 (22%) であった。 HHV-6脳炎発症はHHV-6再活性化が原因であり、サイトカインは発症を誘発するというよりは発症例の病状を修飾している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで移植症例170例 (うち脳炎発症例18例) について移植後早期のサイトカイン動態を既に測定している。また16例について、髄液中のサイトカインを測定を終了している。
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今後の研究の推進方策 |
測定はほぼ終了しつつある。今後は追加症例の測定、データ解析 (HHV-6再活性化、HHV-6脳炎発症に対するサイトカインの影響、髄液中サイトカインの評価)を行い、サイトカインストームが脳炎発症に与える影響について決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
移植症例の血漿について、BioPlexを用いたサイトカイン、ケモカイン測定、及び検体送付のための通信費(宅配運送)に主に用いられる。
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