研究課題
2013年末までに正常妊婦129例、妊娠高血圧症候群(PIH)24例、HELLP症候群10例の連続的検体の集積を行った。集積した妊婦血漿を用いて、ADAMTS13を等電点電気泳動(IEF)で解析した結果、HELLP症候群では“VWF非結合型ADAMTS13”の著明な欠損と“VWF結合型ADAMTS13”の増加を認め、これは症状の改善とともに正常化した。またPIHにおいても一部の重症例で軽度の“非結合型ADAMTS13”の欠損を認めた。我々は以前に“VWF非結合型ADAMTS13”は高ずり応力惹起凝集を初期より阻害し、“VWF結合型”は凝集を後期に阻害することを同定したことから(Hori et al, 2013)、HELLP症候群における微小血管障害の進展にはADAMTS13による早期の血小板凝集阻害能の減弱が関与する可能性が示唆された。一方、申請者らは胎盤由来E-NTPaseが妊娠期の血小板血栓調節機構に関与しうる可能性を想定しE-NTPaseに対するモノクローナル抗体(mAb)を9種類作成した。各々のmAbがE-NTPase活性に与える影響を解析したところ、興味深いことに1種類のみ活性を助長するような挙動を示す抗体を同定した。作成したE-NTPaseのmAbを用いて血漿中E-NTPase抗原や活性を定量するELISA系を樹立したが、正常妊婦とHELLP症例の間で有意な差を見出すことが困難であったことから、今後はフローサイトメトリー等を用いた測定系を検討する。従来、HELLP症候群におけるADAMTS13解析は同酵素の抗原量や活性にのみ焦点が当てられ、有意な関連性は見出されていなかった。本研究はIEFという申請者独自の手法を用いたことで、HELLP症候群におけるADAMTS13の血小板凝集阻害機能低下を見出した初の報告であり、本疾患の病態解明に貢献しうると考える。
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