研究課題/領域番号 |
23591433
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
加々美 新一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30375654)
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研究分担者 |
池田 啓 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10456014)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Th17細胞 / Wnt/βカテニン / SGK1 / 関節リウマチ |
研究概要 |
IL-6シグナルを選択的に阻害する生物学的製剤アクテムラを投与した関節リウマチ患者において、アクテムラ投与前後でCD4陽性T細胞における遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて比較したところ、著効例においてWnt/βカテニンシグナルの下流に位置するSGK1、DACT1、Myc等の発現が有意に低下していることを見出した。さらに我々はマウスTh17細胞にSGK1が高発現していることも見出しており、Wnt/βカテニンシグナルがTh17細胞の分化あるいは維持に何らかの役割を果たしていることが示唆される。また、SGK1はFOXO3aの抑制を介してT細胞メモリーに関与することが示されており、Wnt/βカテニンシグナルはメモリーTh17細胞の分化誘導に関与していることも示唆される。そこで本研究ではTh17細胞の分化および機能発現におけるWnt/βカテニンシグナルの役割を解明することを目的とした。まず、マウスCD4陽性T細胞をTh17細胞誘導条件下で培養した際のWnt/βカテニンシグナルの標的遺伝子(Myc, Axin)の発現を定量的PCR法で検討したところ、いずれの遺伝子の発現も有為に高いことが明らかとなり、Th17細胞ではWnt/βカテニンシグナルが亢進していることが示唆された。さらにTh17細胞分化におけるSGK1の役割をSGK1阻害薬を用いて検討したところ、SGK1阻害薬はTh17細胞の分化を抑制することが明らかとなった。現在、SGK1阻害薬がTh17細胞の分化を抑制する分子機構を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究では、in vivoの解析の達成度は不十分であったが、Th17細胞分化におけるWnt/βカテニンシグナルの役割に関するin vitroの解析は予定以上に進展した。以上より、研究計画全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Th17細胞でWnt/βカテニンシグナルが亢進していること、SGK1がTh17細胞分化に関与していることを確認できたことから、RNAiノックダウン法によるWnt/βカテニンシグナルの標的遺伝子の機能解析およびTh17細胞分化におけるWnt/βカテニンシグナルの作用点の解析を進めるとともに、Tcf1欠損マウスと活性型βカテニントランスジェニックマウスをもちいたin vivoの解析に着手する。関節リウマチ患者の関節液中CD4陽性T細胞の解析も計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は上記研究に用いる制限酵素、培養液、牛血清、各種抗体等の消耗品として使用する予定である。
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