カンナビノイド(CB: cannabinoid)は大麻の主成分であるが、その受容体であるCB1は中枢神経系に、CB2は免疫系細胞に主に発現しているため、CB2特異的リガンドは中枢神経への作用がなく、免疫系に作用すると考えられている。 本研究により、関節リウマチ(RA)滑膜組織のマクロファージ、線維芽細胞様滑膜細胞(FLS: fibroblast-like synoviocyte)、T細胞、B細胞にCB2が発現している事を見出した。In vitroで培養したRA由来のFLSもCB2を発現しており、CB2特異的リガンド(JWH133)は、FLSからのtumor necrosis factor-α刺激によるinterleukin (IL)-6、matrix metalloproteinase-3 (MMP-3)、CC chemokine ligand 2 (CCL2)の産生亢進を抑制した。また、JWH133は、IL-1β刺激による末梢血単球からのIL-6産生亢進も抑制した。さらに、末梢血単球はreceptor activator of NF-κB ligand (RANKL)、macrophage colony-stimulating factor (M-CSF)で培養することにより破骨細胞に分化するが、JWH133はこの破骨細胞分化も抑制した。 モデルマウスの関節炎(コラーゲン誘導関節炎)にJWH133を投与したところ、関節炎が抑制された。滑膜組織への炎症細胞浸潤、関節の骨破壊の抑制効果も認めた。また、抗コラーゲン抗体価の低下もみられた。 以上の結果より、CB2特異的リガンドは、炎症性メディエータの産生や破骨細胞分化を抑制し、また自己抗体産生抑制作用により、関節炎に対する治療効果があると考えられ、RAに対する新規治療薬として期待される。
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