研究課題/領域番号 |
23591439
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
川上 純 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90325639)
|
研究分担者 |
大山 要 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50437860)
山崎 聡士 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30367388)
玉井 慎美 長崎大学, 保健・医療推進センター, 助教 (60380862)
折口 智樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90295105)
有馬 和彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30423635)
阿比留 教生 長崎大学, 大学病院, 講師 (00380981)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | RA / seronegative RA / イムノコンプレキソーム / LC-MS/MS / TSP-1 / PF-4 / FLS / サイトカイン・増殖因子 |
研究概要 |
まずはイムノコンプレキソーム解析(LC-MS/MS解析)を用いて関節リウマチ(RA)患者血清に特異的に検出される免疫複合体(IC)の検討を行った。罹病期間が長いRAとコントロール[健常人と変形性関節症(OA)]を対象としたが、thrombospondin-1(TSP-1)およびplatelet factor 4(PF-4)を含有するICがRAに特異的に検出され、TSP-1含有ICがPF-4含有ICより検出頻度が高かった。次に早期RAを対象に検討し[コントロールは健常人、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)]、やはりTSP-1含有ICが特異的に検出されることを確認した。PF-4含有ICの検出頻度は早期RAでは低く、RAの病態を早期から反映するバイオマーカーとしてはTSP-1含有ICがより優れていると判断した。興味深いことに、TSP-1含有ICは、抗CCP抗体/リウマトイド因子(RF)が陰性の"seronegative" RA血清中にも検出され、RAの普遍的なバイオマーカーである可能性も考えられた。以上の結果よりRA患者血清には抗TSP-1自己抗体および抗PF-4自己抗体の存在が示唆され、この直接的な検出は今後の検討課題と思われる。TSP-1はRA患者血清中にはかなりの濃度で検出される。そこで培養RA滑膜線維芽細胞(FLS)を用いて検討した。その検討により、TSP-1はFLSから産生・分泌され、また、その過程はサイトカイン・増殖因子によりmRNA翻訳レベルで制御されうることが明らかとなった。これに関してはTSP-1産生調節機序の詳細な解析やTSP-1の組織学的な局在などを検討し、上記のイムノコンプレキソーム解析の結果を合わせて、RAの病因や自己抗原の同定に発展させたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イムノコンプレキソーム解析で特定の因子を同定できた。また、この分子の発現調節機序も滑膜線維芽細胞を用いての解析が進行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
イムノコンプレキソーム解析で同定された因子のRA滑膜組織での発現様式を確認し、滑膜線維芽細胞を含めたin vitroの実験系で発現制御機序や免疫原性を評価し、in vivoの実験系に発展させる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上述の今後の推進方策に則り、in vitroおよびin vivoの各実験に応じて、研究費用を使用する計画である。
|