研究課題
私たちはイムノコンプレキソーム解析法を用いて、関節リウマチ(RA)(晩期RAおよび治療ナイーブの早期RA)の血清中にはTSP-1およびPF-4を含有する免疫複合体が検出され、特にTSP-1を含有する免疫複合体の陽性率は早期RAでも50%以上と高率であることを見出した。それをもとに、RA滑膜炎におけるTSP-1の意義を解析した。組織学的にRA滑膜組織では、TSP-1の強い発現が免疫染色で確認された(変形性関節症を対照として、WinROOFソフトウェアを用いた定量的な解析)。サイトカイン/増殖因子を加えて滑膜線維芽細胞(FLS)を培養し、培養上清のTSP-1をELISAで検討すると、TGF-beta1が最も強くTSP-1産生を誘導し、この作用は転写レベルでも確認された。TNF-alpha、IL-1beta、IL-6、IFN-gammaにはTSP-1の産生増強作用は認めなかった。TSP-1のFLSに対する作用をVEGFやIL-6の産生(サスペンションアレイを含む)やスクラッチアッセイでの遊走能で評価したが、今回の検討範囲では、TSP-1のFLSに対する有意な作用は認めなかった。RAの治療経過による検討では、臨床的疾患活動性、関節超音波での疾患活動性(パワードプラおよびグレースケール指数)、血清/血漿のTSP-1、TGF-beta1およびVEGFの計時的な解析で評価した。抗リウマチ治療が奏功した症例ではこれが有意に低下するも、疾患活動性の低下を認めなかった症例では、TSP-1を含むバイオマーカーの低下は認められない傾向にあった(この点は現在解析を継続中)。以上の結果より、RA滑膜組織の炎症性ニッチで産生されるTGF-beta1が滑膜細胞に作用し、TSP-1の発現増強が誘導され、これが免疫系を感作し、抗TSP-1抗体が産生されると考えられた。TSP-1のFLSに対する作用については、手法を変えて、解析を継続する予定である。
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