研究課題/領域番号 |
23591441
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松山 隆美 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30145479)
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研究分担者 |
永井 拓 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90363647)
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キーワード | 国際情報交換 / 抗体 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
1)抗葉酸リセプターベータ(FR-B)抗体による強皮症線維化抑制効果:昨年度、ブレオマイシン皮下投与によるマウス強皮症モデルにおいて、抗マウス葉酸リセプターベータ抗体イムノトキシンを静脈注射したところ、皮膚のFR-B発現マクロファージの減少が見られたことを報告した。今年度ブレオマイシン投与4週経過のマウスにおいて、抗マウス葉酸リセプターベータ抗体イムノトキシンの静脈注射は皮膚の肥厚、ハイドロキシプロリン量の減少を生じることを明らかにした。また、ブレオマイシン投与8日後のTGF-β産生細胞の多くは、FR―B発現マクロファージであることを明らかにした。さらに強皮症モデルに対する抗葉酸リセプターβ抗体イムノトキシンは、皮膚TGFβ産生を抑制することをリアルタイムPCR法にて明らかにした。また、2週間計5回のイムノトキシンの投与では、トキシンに対する免疫原性は少なかった。以上の結果から、強皮症の皮膚線維化抑制に抗マウス葉酸リセプターベータ抗体イムノトキシンを静脈注射は有効であり、治療への展開が期待できると考える。 2)血清可溶性葉酸リセプターベータの測定:関節リウマチ患者血清において、血清可溶性葉酸リセプターベータが生物製剤効果の判定の指標となるかについて検討した。10名の患者において、生物製剤治療前、治療後1か月、3か月において血清可溶性葉酸リセプターベータ値とSDAI,cDAI, DAS28値と相関をみたところ、比例する傾向がみられたが有意差はなかった。さらに症例を追加検討する。 3)葉酸リセプターベータに結合する生体内の葉酸誘導体の探索:昆虫細胞をもちいて、可溶性葉酸リセプターベータを多量に精製することに成功した。 現在可溶性葉酸リセプターベータカラムをもちいて、炎症血清や臍帯血に葉酸リセプターベータに特異的に結合する葉酸誘導体が存在するか検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1抗葉酸リセプターベータ(FR-B)抗体による強皮症線維化抑制効果 次年度はヒト強皮症皮膚のFR-B発現細胞について検索する予定であるが、ほぼ計画を達成しており、論文作成中である。 2血清可溶性葉酸リセプターベータの測定はほぼ計画を達成しており、学会発表予定である。 3葉酸リセプターベータに結合する生体内の葉酸誘導体の探索 次年度集中して、研究をおこなう。4ラット関節炎における抗ラットFR-B抗体イムノトキシンの治療効果計画を達成し、論文掲載をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
抗葉酸リセプターベータ抗体の臨床応用が本研究の目的であり、動物実験において、 強皮症の肺線維症、皮膚線維症や関節炎局所注の有効性が示唆された。今後抗体のヒト化や トキシンの免疫原性の低下に向けての研究をおこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
葉酸リセプターベータに結合する生体内の葉酸誘導体の探索 次年度集中して、研究をおこなう。特に葉酸誘導体の同定のためには、HPLCと 質量分析計を使用するための研究費が必要である。また、最終年度のため、 論文発表の費用、学会発表の費用が必要である。
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