研究課題/領域番号 |
23591445
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河野 正孝 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60405256)
|
研究分担者 |
中田 博 京都産業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90113141)
川人 豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336731)
|
キーワード | スフィンゴシン1リン酸(S1P) / S1P3レセプター / コラーゲン誘導関節炎(CIA) / 炎症 / 関節リウマチ |
研究概要 |
(背景)スフィンゴシン1リン酸(S1P)は特異的G蛋白質共役型レセプターファミリーであるS1P1~5レセプターに結合することで細胞外メディエーターとして働くと共に、細胞内メッセンジャーとしても働くということが知られている。その生理作用はきわめて強力かつ多彩で、増殖・分化・アポトーシス・形態変化・遊走・浸潤などの細胞の基本的なプロセスに影響を与える。近年、いくつかの報告でS1Pやスフィンゴシンキナーゼが炎症に関与することが示されており、ヒトの肺炎患者ではS1P3レセプターを介して好中球の走化性を亢進させることが報告されている。 (方法)今回、S1P3レセプターの関節炎における役割を解明するために、野生型およびS1P3ノックアウトマウスを用いてコラーゲン誘導関節炎(CIA)を作製し、関節炎の評価を行った。関節炎の重症度は0~4点でスコア化し四肢の合計スコア(最大16点)を第42日目まで比較検討した。組織学的評価は、第42日目に関節炎組織を採取しH&E染色により、細胞浸潤、軟骨破壊、骨びらんの度合いをそれぞれ0~3点で評価した。同様に第42日目に血清を採取し、抗II型コラーゲン抗体(IgG1, IgG2a)を測定、比較検討した。 (結果)S1P3ノックアウトマウスでは第28日目以降、野生型に比べ有意に関節炎スコアの減弱を認め(Mann-Whitney U test)、また組織学的にも野生型と比較して有意な細胞浸潤の抑制、骨破壊の抑制を認めた(Mann-Whitney U test)。血清抗II型コラーゲン抗体値には有意差を認めなかった(Mann-Whitney U test)。 (考察)S1P-S1P3レセプターシグナルはCIAモデルの病態形成、炎症惹起において重要な役割を果たしていることが示された。この経路は関節リウマチにおける有用な治療ターゲットとなりうることが示されたと考える。
|