研究課題/領域番号 |
23591447
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣畑 俊成 北里大学, 医学部, 教授 (90189895)
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研究分担者 |
永井 立夫 北里大学, 医学部, 講師 (60365947)
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キーワード | Bリンパ球 / Tリンパ球 / 抗体産生 / アバタセプト / CTLA-4 / 抗CD3抗体 / クラススイッチ / Staphylococcus aureus |
研究概要 |
自己免疫疾患における病原性自己抗体の産生機序の解析にあたって、本年度はT細胞によるB細胞の抗体産生抑制機序の解明を昨年度に引き続き行った。T細胞の活性化に伴って出現するCTLA-4分子がB細胞表面に存在するCD80/CD86分子を介して抑制シグナルを伝達するのではないかという仮説を立て、その検証を試みた。その検証にあたっては固相化抗CD3抗体によるT細胞依存性のB細胞活性化のシステムを用いた。このシステムでは、T細胞は強力な抗体産生抑制作用を発揮して、その抑制能はT細胞をmitomycin C(MMC)で処理することで消失することがわかっている。このシステムにてMMC非処理のT細胞存在下抗CTLA4抗体を添加するとIgM産生が約2倍増加した。またT細胞をMMC処理するとIgMの産生は増加したが、その際にT細胞のCTLA4の発現も有意に低下していた。従って、CTLA-4分子がB細胞表面のCD80/CD86分子を介して抗体産生を抑制することが裏付けられた。ただCTLA4/Tg融合蛋白であるアバタセプトは、末梢血B細胞をStaphylococcus aureus (SA) とIL-2にて刺激した際のIgM産生をむしろ増強した。SA刺激は生理的な状態を反映していないと考えられることから、soluble CD40リガンドとIL-2+IL-10を用いたより生理的なB細胞の刺激システムを構築して再度検討してゆく予定である。 一方固相化抗CD3抗体によるT細胞依存性のB細胞活性化のシステムにおいてIgG型の自己抗体が産生されるかについて検討を行ったが、抗DNA抗体・抗Sm抗体・抗RNP抗体のいずれも検出されなかった。IgM型の抗体については抗DNA抗体のみ検出された。次年度は抗DNA抗体について、そのIgG型へのクラススイッチがin vitroで誘導できるか検討を行ってゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
B細胞を精製して免疫グロブリン産生を誘導するシステムの構築、特に固相化抗CD3抗体によるT細胞依存性のB細胞活性化のシステムをうまく作動させることができ、T細胞による抗体産生抑制にCTLA4が関与することを証明することができた点は大きな進歩と考えられる。さらにこのシステムを用いて、健常人末梢血のB細胞のレパートリーにIgM型の抗DNA抗体産生細胞はいるものの、抗Sm抗体・抗RNP抗体産生細胞は検出できないことも明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
CTLA4/Tg融合蛋白であるアバタセプトはStaphylococcus aureus (SA) とIL-2にて刺激した際のIgM産生をむしろ増強したが、SA刺激は生理的な状態を反映していないと考えられることから、soluble CD40リガンドとIL-2+IL-10を用いたより生理的なB細胞の刺激システムを構築して再度検討してゆく必要がある。また、自己抗体のなかではまず抗DNA抗体について、そのIgG型へのクラススイッチがin vitroで誘導できないかについて検討を行ってゆく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほとんどの研究費は本年同様消耗品に充当する。
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