研究課題/領域番号 |
23591449
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
川合 眞一 東邦大学, 医学部, 教授 (70129401)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 膠原病 / アディポカイン / アディポネクチン / レジスチン / レプチン |
研究概要 |
脂肪組織はさまざまな生理活性物質であるアディポカインを分泌するホルモン臓器として機能している。申請者らは、2010年度までの文科省科研費により、RA滑膜細胞に対して生理学的濃度のアディポネクチンは、IL-8産生(Biochem Biophys Res Commun. 2009; 378:218-223)およびプロスタグランジンE2産生(Arthritis Rheum. 2010; 62:1641-1649)を増加させることを明らかにした。そこで申請者は、膠原病諸疾患におけるアディポカインネットワークの詳細な検討が必須と考えるに至った。平成23年度からの文科省科研費による研究では、種々のアディポカイン相互の異同や影響を膠原病諸疾患において明らかにし、これらの疾患におけるアディポカインネットワークを解明することを目的とした。そのため、今回の研究計画の疾患対象疾患は、現在まで検討してきた関節リウマチに加え、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、川崎病などの膠原病諸疾患を広く対象とした。 川崎病患児の血清アディポカイン濃度を測定したところ、レジスチン濃度は健常児および対照の急性感染症患児に比べて有意に高値であった(Mod Rheumatol. 2012; 22:66-72)。また、この高い血清濃度は大量ガンマグロブリン療法により正常化した。なお、アディポネクチン、レプチン、ビスファチン濃度は健常児と変わらなかった。次に、活動期の全身性エリテマトーデスなどの膠原病患者で検討したところ、血清レジスチン濃度は高く、逆にレプチンとアディポネクチン濃度は低かった(Mod Rheumatol., in press)。また、これらはステロイド療法によっていずれも正常化した。これらの結果から、リウマチ性疾患の急性病態ではレジスチンが重要な役割を演じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究費で、川崎病および全身性エリテマトーデスなどの膠原病におけるレジスチンの重要性について臨床研究で明らかにし、論文として発表した。本研究は、こうした膠原病諸疾患におけるアディポカインの役割を基礎および臨床研究で明らかにすることを目的として申請したことから、臨床的な成績はある程度得られたと考えている。これに加えて、現在、各種アディポカインの作用について基礎的な検討も加えており、これらにより膠原病患者におけるアディポカインネットワークを明らかにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、本研究計画は、少なくとも臨床研究の部分についてはおおむね順調に進展している。また、基礎研究についても、現在、研究計画にあるヒト滑膜細胞を用いた研究を進めており、平成24年度にはある程度の結果を報告することが可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画書通り、主に基礎研究における物品費に使用予定である。平成23年度から現在まで継続して実験をしており、平成24年度当初から使用予定である。
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