研究課題
私たちは群馬大学生体調節研究所 岡島史和教授と共同研究を進め、プロトン感知性三量体G蛋白質共役型受容体(GOCR)の1つであるOvarian cancer G protein-coupled receptor 1 (OGR1)ノックアウトマウスの卵白アルブミン (OVA) 感作による喘息モデルを解析した。野生型と比較してOGR1ノックアウトマウスでは気道過敏性亢進、気道上皮の杯細胞化が減弱すること、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数、Th2サイトカインの低下が観察されることを見出した。その機序として樹状細胞に存在するOGR1が樹状細胞の所属リンパ節への遊走に関与し、Th2型アレルギー性気道炎症の発現に重要であることを明らかにした。一方で、気道構成細胞であるヒト気管支平滑筋細胞やヒト気道上皮細胞では4種類のプロトン感知性受容体のうちOGR1が主に発現しており、気管支平滑筋細胞では細胞外環境が酸性に傾くとプロトン刺激によってOGR1が活性化し、私たちが以前に報告したIL-6のほかにConnective tissue growth factor(CTGF)やIL-8が産生されることを発見した。ヒト気管支平滑筋細胞はTransforming growth factor(TGF)-beta刺激によってもCTGFを産生するが、酸性環境下ではTGF-beta単独刺激と比較して著明にTGF-beta産生が増強された。OGR1を介するCTGF産生、IL-8産生にはGqの活性化と細胞内小胞体からのCaの動員が必要であった。これらの結果から、気管支喘息、COPDなどの炎症性呼吸器疾患において、気管支平滑筋は外界からの刺激によって、収縮、拡張し、気流制限に関与するだけではなく、OGR1を介して、細胞外プロトンを感知し、気道炎症や気道リモデリングに関与しているものと思われる。
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