研究課題/領域番号 |
23591461
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中川 竜介 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (10360603)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | サイトカイン |
研究概要 |
以下のことを明らかにした。1.食物アレルギーの発症の初期段階において、上皮細胞の傷害によりInterleukin(IL)-33が生産される。2.IL-33はInnate Lymphoid Cell (ILC)に作用して大量のTh2 cytokine (IL-5 and IL-13)を生産させる。3.Th2 cytokineにより抗原(Ovalbumin)特異的Immunoglobulin (Ig)EがB細胞から分泌され、食物アレルギーが発症する。 4.これに対して腸内細菌により樹状細胞から生産されるIL-23はγδT細胞に作用してIL-17とIL-22を生産させる。5.IL-17とIL-22はILCの生産するTh2 cytokineを抑制することで、IgEを低下させる。さらにInterferon-γを生産させるため、アレルギー発症に対して抵抗性があがる。以上の結果、IL-17、あるいはIL-23を欠損すると食物アレルギーを発症しやすいこと、ILCが食物アレルギー発症において重要な役割を果たすことを、世界に先駆けて、新規に解明したことは非常に意義深い。また、IL-23 /IL-17 cytokine axisが食物アレルギー発症に抵抗性を付与することを解明したことにより、腸内細菌、あるいはその効果を増強する成分によってIL-17生産誘導をすることで食物アレルギーの予防が可能であることを示した。よって、新たなアレルギー予防法を示した点でも意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目標である、食物アレルギーにおけるIL-17の役割解明を達成し、さらに食物アレルギー発症における一連のサイトカインネットワークも解明したため。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroアッセイでT細胞のIL-17生産を増強させる成分を選抜した。今後、in vivoでこれらの成分を摂取させたマウスでIL-17の生産が増強さされること、および食物アレルギー予防に効果があるか検討する。経口寛容におけるIL-17の役割は未だ不明であるため、経口寛容モデルを用いてIL-17の関与を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 食物アレルギー誘導のため、マウスとovalbumin、およびcholera toxinを購入する。2.アレルギー発症の程度を判断するために、血液中の抗体価とサイトカイン生産能を測定する。そのため、抗体、およびサイトカイン測定用ELISAとRNA定量PCR関連試薬を購入する。3.論文掲載のために使用する。4.情報収集のため学会参加費に使用する。次年度以降に請求する研究費として、7千円余りが生じたのは、予定していた試薬購入に不足であったため、次年度の研究費と併せて使用することが望ましいと判断した経緯がある。よって、本年度に試薬費として使用する。
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